谷中公一のソコまで聞いちゃう!?[2011年10月06日対談記事] 3ページ/3

水口さんがムッツリしていたら、イメージと合わないですね。

水口:一度、誰とも話さずに、自分ひとりでやってみようと思ったことがあったんですよ。競馬でも聞きたいことを我慢して、自分でやってみましたけど1ヶ月も持ちませんでした(笑)。人に聞くことは重要だなあ、と改めて分かりました。

谷中:乗り方とか、やっぱり先輩に聞かないといけない部分もあるからな。あとトレセンを離れて、ローカルとか行くと「一人で頑張らなきゃ」と思うときはあったけどね。水口もローカルには行くでしょ?

水口:はい。今年の夏は小倉に行きました。若手はみんな函館や札幌には行きますけど、小倉に滞在する若手騎手って、あまりいないと思うんです。

谷中:いないよね。特に関東で小倉に滞在するっていうのは珍しいよね。

水口:他の人と違うことがやりたかったので、小倉で調教つけたりしました。今年の冬も小倉に行ったんですけど、夏の小倉は関西の人が多くて、冬とは雰囲気が全く違いましたよ。関東と関西では、調教のやり方も、厩舎関係者の考え方も違いますから。

谷中:具体的には、どんなところに違いを感じた?

水口:関西のほうが成績を残しているからなのか、余裕というか、ゆとりを感じますね。それに比べると、関東のほうは、ちょっとイソイソしている気がします。

谷中:それは気持ちの持ちようで、そういう違いが結果にも出ているのかもしれないよね。今は関西優勢と言われているけど、水口は将来この差は埋まると思う?

水口:う~ん、いつかは縮まると思います。トレセン設備の差は現状仕方がないですけど、考え方次第で良くなるところはあると思います。

谷中:これからの競馬は、水口たちの世代がつくっていくんだからね。そんな彼らが何かを感じたり、疑問を持つということは、非常に大切なことなんだ。そういう気持ちをずっと持って取り組んでいけば、いつか変わってくるよ。

水口:調教師の方々も、栗東で研修を積んできている人が多いですし、僕たち騎手も関西に行って、いろんなことを体験して、いいものを取り入れることは重要だと思います。

谷中:相対的に関西が上なのは確かだもんな。水口もフリーになったんだから、どんどん関西に遠征するのもいいよね。その為には、まず関西弁からだな(笑)。

水口:エセで「なんでやねん」とか「ホンマ?」とか使ってみたら、先輩に「お前、関西人じゃないだろ」って言われてしまいましたよ(笑)。

速攻で突っ込まれたんですね(笑)。水口騎手は、関西だけでなく、海外の競馬にも関心はあるんですか?

水口:ぜひ、海外にも行ってみたいです!本当に考えていて、今、フランスに行っている田中博康さんに、どうやって海外遠征の準備をしたのか聞いたりしています。もし海外に行けたら、騎乗法、馬づくりなど、いいところを吸収して、それを伝えていきたいですね。

谷中:いいね。グローバルに動いていかないと、自分が小さくなるからね。関東から関西、関西から海外へと、視野を広げていくのは本当にいいことだよ。

水口:はい。だから競馬以外の一般社会にも視野を広げて、新聞もよく読んだりしています。ジョッキーとしてだけでなく、一社会人としても立派にならなければいけないと思って。

谷中:雑学とか覚えることで、柔軟な考え方も出てくるようになるからね。競馬以外の知識を持つということは必要なことだよ。

水口:自分もいずれジョッキーを辞めるときがきますし、そのとき一般常識を知っておかないと、外の世界で通用しませんからね。履歴書上の学歴は中卒ですし。

谷中:水口って、結構バランスを上手く取っていこうとしているよね。

水口:それは気をつけています。バランスの良い人間になりたいと思っていますから。

谷中:競馬以外の話も出てくるし、こうした対談も好きなんじゃないの?

水口:大好きです(笑)。こういう対談で、ファンの方や競馬を知らない人にアピールしたいんです。競馬のことをもっとどんどん知ってもらいたいんですよ。

谷中:前回の小野寺もそうだけど、イベントか何かで、ファンの前に出したいね。

水口:小野寺さんとは、よく話をしますし、これからの競馬についても考えています。

谷中:でも小野寺の対談では、競馬の話は出なかったけど(笑)。

水口さん、競馬の発展についても結構考えているんですね。

谷中:はっきり言って今、競馬は厳しい状況だよね。こうしたときに若手ジョッキーたちは、水口のような考えを持って欲しいね。騎手って、せっかく華やかな仕事なんだから、もっと表に出てアピールしてもらいたいよ。

水口:現場を盛り上げるにも、競馬場に芸能人を呼ぶだけでは難しいですよね。じゃあ他に何がいいのかというのは、なかなかすぐには考えが出ないですけど、だからこそ皆で考えていかなければいけないと思います。

谷中:いや~、水口、明日から騎手会長できるよ(笑)。前代未聞の20代前半の騎手会長(笑)。本当、水口が話したような社会的な目線は、競馬サークルでも必要だよね。

水口:海外の競馬はそうした目線を持っているから、社会で認められていると思いますし、こちらが取り入れる部分があるはずです。

競馬の問題点や改善策が出てきましたけど、そろそろお時間なので、シメに水口騎手の目標を教えてください。

谷中:なんかまだまだ話せそうだな。あと2、3時間はいけるんじゃない(笑)?

水口:全然いけますよ!

カンベンしてください(笑)。えー、さっきの話の流れだと、競馬界全体を考えた壮大な目標もありそうですけど、ご自身の身近な目標でお願いします。

水口:はい。ジョッキーとして一番大事な時期なので、いろんなところに行って、いろんな人に会って、それを生かして勝ち星も増やしていきたいです。そうすれば、名前も売れて、いろんな企画の出演依頼も増えるでしょうし、自分の発言の影響力も出ますからね。そこで更に競馬に貢献できる活動をしていきたいです。

谷中:その気持ちをずっと失わずに、これからも頑張って欲しいね。俺も今まで以上に応援するよ。

広い視野と探究心を持つ水口優也騎手にとって、フリーになったことは、試練であると同時に大きなチャンスが巡ってきたと言えます。いずれ競馬界を背負って立つ存在になるといっても過言ではない、彼の騎乗ぶりにますます注目です。

水口優也
水口優也プロフィール
1991年3月22日生まれ。日本中央競馬会(JRA)騎手。2010年、美浦トレーニングセンターの加藤征弘厩舎の所属騎手として騎手デビュー。初騎乗は2010年3月6日にマザリーヌ(14着)。同年6月27日にビラゴーティアラで初勝利。2011年4月から加藤征弘厩舎を離れ、フリー騎手として活躍中。
谷中 公一

1965年長野県生まれ。1985年、美浦の阿部新生厩舎の所属騎手として騎手デビュー。JRA通算成績145勝(うち障害3勝)。初騎乗は1985年3月10日にヤノリュウホウ(8着)。同年6月15日イチノスキーで初勝利。現役中に騎手生活の厳しい現実を綴った著書「崖っぷちジョッキー」を発表。現在は天間昭一厩舎の助手として活躍中。同厩舎ではレッツゴーキリシマやクラウンロゼなどを担当した実績もある。またその傍らドッグガーデン「WANだら~」経営者としても手腕を発揮している。

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