今回のゲストは、今年2013年にデビューした伊藤伸一厩舎所属の伴啓太騎手です。よろしくお願いします。
伴:よろしくお願いします。
谷中:よろしくね。
久し振りの新人ジョッキーとの対談ですけど、谷中さんと伴騎手はこれまで…。
伴:ほぼ初対面です。
谷中:朝の調教のときにチラッと挨拶したくらいで、ほとんど接点がなかったね。(資料を見ながら)伴君って、静岡出身なんだね。静岡のどこなの?
伴:湖西市っていうんですけど、静岡の一番端っこです。愛知の隣です。
谷中:お茶とうなぎで育ったんでしょ?
伴:アハハ(笑)!そうですそうです。
谷中:静岡って、ウインズとかの競馬の施設がないよね。
伴:ないですよね。競艇とかオートはありますけど。
谷中:何で競馬に興味を持ったの?
伴:中一ぐらいのときに、たまたま家族と「将来、何になるんだよ」みたいな話をしていて、どうしようっかなって。
谷中:家族会議みたいなのを開いたの?「啓太の将来を考えよう」みたいな。
伴:いや、そんな重い感じじゃないです。
谷中:ああ、サザエさんの食卓みたいなもんか(笑)。
伴:もっとフランクです。
谷中:それじゃ、どフランクだね(笑)。
伴:どフランクです(笑)。で、僕、食べるのが嫌いでご飯がホント食べられなくて、給食も残しまくってたくらいで、体が小さかったんです。野球をやっていたんですけど、体が小さかったから高校へ行っても野球を続ける気はなくて。
谷中:そうなんだ。
伴:「体が小さいからなあ」って話になっていて、とりあえず友達の親に競艇選手がいたから競艇選手を勧められたんです。でもテレビで競艇を見てもあんまり面白くなかったんですよね。あと「オートレースの選手はどうか」って話も出たんですけど、なり方も分からないしそんなに心にグッと来るものがなくて。
谷中:というか、将来の選択肢は公営ギャンブル限定だったんだ(笑)。
伴:いや、体が小さくても出来る職業を考えていたんです(笑)。
谷中:何かの研究員とか、学者になるとか。
伴:それは全くなかったです。勉強が嫌いだったんで。
谷中:とび職になるとかサーカスに行くとか。
伴:それらも何か違いました(笑)。
谷中:ピエロになって玉乗りしたり…。
伴:で、兄貴がプレステでダビスタをやっていたんですよ。競馬を見ていたわけじゃないんですけど、ゲームがめっちゃ好きでたくさんゲームをやっていたんで、ダビスタはやっていたんですよ。それで、競馬は面白いんじゃない?ってくらいの感じで見ていて。
谷中:ちょっと興味を持てたんだ。
伴:フジテレビで3時からやっているじゃないですか。それを見て、面白そうだな、カッコいいしと思って、たまに見ていたんです。
谷中:へー。
伴:で、ディープインパクトの引退レースで騒がれていた有馬記念を親と見ていたんですけど、引退って、例えば野球選手だと「衰えて引退」っていう感じじゃないですか。それと同じで、ディープインパクトも衰えて引退するんだろうな、と思いながらボーッと見ていたんです。道中も後方にいて、全然ダメじゃんって思っていたら、4コーナーでワーッと上がっていって。あ、こういうのもあるんだと思って惹かれましたね。これはカッコいいな、と思って。
谷中:引退というものに対するイメージも覆って。
伴:そうなんですよ。全然イケるじゃん!と思って。それでジョッキーになってみようかな、と。
谷中:ジョッキーを目指そうと思ってから、何か始めた?筋トレとか乗馬とか。
伴:全くやらなかったです。馬に乗れる環境もなかったんで。
谷中:じゃあ中学を卒業して、高校へ通ったの?
伴:いえ、高校には行かないで、稲敷にある国際馬事学校っていう馬の学校に行ったんです。そこで馬の勉強をして、騎手過程の試験を受けたら受かったんで、競馬学校に入学してっていう感じで。
谷中:馬に携わり始めて苦労したことはなかった?
伴:うーん、そんなに…苦労?
谷中:だって、その学校で初めて馬に乗ったんでしょ?
伴:そうです。でも何も知らなかったんで、こういうものなのかな、と思って。
谷中:デカい!とか思わなかった?
伴:ああ、デッケーなあと思いました。あと、噛むの?と思いました。馬って大人しいイメージだったんで、噛んだり蹴ったりするのにビックリしました。
谷中:全然大人しくねーじゃねーかって。
伴:馬怖ぇーしって。
谷中:それにビビって「もうやだ!」とは思わなかったの?
伴:それはないです。
谷中:親元を離れて暮らすっていうことにも抵抗はなかった?
伴:あー、何も考えなかったですね。ハハハ(笑)。パッと思いついて、やってみようって感じで。
谷中:良いねえ。で、競馬学校入学前に一年間その学校に通ったんだ。伴君は順風満帆だったみたいだけど、一緒に入学した子たちでやめていく子はいなかったの?
伴:けっこういましたね。でも、ウチの親はやりたいことは何でもやらせてくれるんですけど、始めたことはやめさせてもらえないんで。
谷中:途中でやめて帰るってなったら「ウチの敷居をまたぐなぁっ!」みたいな感じ?お父さん、ちゃぶ台ひっくり返したり。
伴:ないないないない(笑)!まあ、そこまで厳しくはないですけど。兄弟が4人いるんですけど、みんな暗黙の了解みたいな感じで分かっていますよ。
谷中:4人兄弟って結構多いよね。
伴:よく言われますね。
谷中:お父さん、ビッグダディじゃないよね?
伴:違います。ノーマルダディです(笑)。
谷中:あ、どっかの島に移住したりはしないんだ(笑)。競馬学校に入ってからはどうだったの?
伴:いや、それがメッチャ順調に行っていましたよ。特に、うわ~って思ったこともないですし。まあ、一学年上の先輩と年が一緒な訳じゃないですか。最初の何ヶ月くらいは、それがイヤだなとは思いましたけど。今となっては全然。
谷中:馬に乗るのも順調だった?
伴:そうですね。自分の進歩が自分で感じられるから面白いですよね。あ、良くなったんじゃね?みたいな(笑)。
谷中:感じは掴めるんだ。じゃあやりがいがあるよね。トレセンに実習にきたときはどうだった?
伴:実習は、…楽しかったなあ~。やっぱり外に出られるから楽しいですよね。先生もメッチャ優しくて。
谷中:伊藤先生は優しいもんね。先生から「これだけはしっかりやっておくように」みたいに、よく言われることってある?
伴:人間関係ですかね。馬に乗ることに関しては、先生は本当に何も言わなくて、助手さんたちに聞いておくようにって感じなので。
谷中:そうなんだ。じゃあ「礼儀を重んじろ」みたいな。
伴:そういう感じですね。
谷中:歯ぁ磨けよ、とか。
伴:…。
…ドリフ…。
谷中:宿題やれよ。また来週、みたいな。
伴:そういう感じかな(笑)。
谷中:だいぶ投げやりになられてるんだけど(笑)。伴君、俺の話を流してない?
今の話に関しては、流しで正解じゃないですか。さっきのピエロの話を黙殺したのも見事でした。
谷中:まあ、あそこで真面目に返されると、逆にこっちも困っちゃうからね。流してもらって、こっちとしては救われたよ(笑)。
伴:流しで正解だったんだ(笑)。
そうですよ。それはそうと、谷中さんも伊藤先生のことはよくご存知ですよね。
谷中:伊藤先生のお父さんの厩舎の馬にすごくよく乗せてもらってたのね。で、伊藤先生はそこで助手をやっていたし、すごくお世話になったよ。ホント優しいし「伸ちゃん先生」って、みんなから慕われてんだよね。
そんな伊藤先生の下で。
谷中:順風満帆にスクスク育っているね、この子は。
伴:スクスク(笑)。
谷中:日光を浴び、光合成をし。
伴:俺、人間なんですけど。植物じゃないから(笑)。
谷中:流すだけじゃなくて、ツッコミも的確だね(笑)。競馬学校時代、減量だとか体の面ではどうだったの?
伴:まあ、気をつけてはいましたけど。
谷中:太りやすいとかあるの?そうでもないよね。あ、でも体格はいいか。
伴:肩幅があるんですよ。身長が161しかないんですけど、肩幅は昔からあって。まあ、僕は別に、カッコ良いんじゃね?って思ってるんですけど(笑)。
谷中:うん、肩幅がある方がカッコ良いよ。
伴:ですよね。ロボコップみたいで(笑)。
谷中:羨ましいよね。ショルダーバッグを肩にかけてもズリ落ちないでしょ?俺なんてなで肩でさ、肩幅が狭いからショルダーバッグが落ちまくっちゃうの。もう危ない危ない。
伴:そうなんですか。じゃあ僕、得ですね。カバンが背負いやすいから。
谷中:これも順風満帆じゃん。肩幅が広いだけで幸せだよね。リュックが落ちないだけで幸せだろって(笑)。
伴:そういえばランドセルも落ちたことないですもんね(笑)。
1965年長野県生まれ。1985年、美浦の阿部新生厩舎の所属騎手として騎手デビュー。JRA通算成績145勝(うち障害3勝)。初騎乗は1985年3月10日にヤノリュウホウ(8着)。同年6月15日イチノスキーで初勝利。現役中に騎手生活の厳しい現実を綴った著書「崖っぷちジョッキー」を発表。現在は天間昭一厩舎の助手として活躍中。同厩舎ではレッツゴーキリシマやクラウンロゼなどを担当した実績もある。またその傍らドッグガーデン「WANだら~」経営者としても手腕を発揮している。
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