谷中公一のソコまで聞いちゃう!?[2013年2月13日対談記事]2ページ/3

土谷:やった甲斐がありました(笑)。ゴール前100メートルくらいまで先頭を走っていたんですけど、カッちゃん(田中勝春騎手)に外からビューッと差されちゃいました。でも夢を見ましたよ。

谷中:カッチー空気読めよ!お前はいつでも重賞勝てるだろ!ちょっとは遠慮しろよ!みたいな(笑)。(資料を見ながら)あー、トウホーケリーもいたね。

土谷:トウホーケリーは毎日攻め馬に乗っていましたし、安田記念まで乗せてもらって。性格は結構キツい馬だったんですけど、賢いんでしょうね。教えたことに対してちゃんと応えてくれましたし、覚えが良いんですよ。乗っていて楽しかったですよね。見た目は500万か、せいぜい1000万かっていうくらいの馬だったんですけど、走ったんですよね。

谷中:一回だけマサヨシ(蛯名正義騎手)になったけど取り消してるね。

土谷:そのときは鼻血を出して出走取消になったんですよ。

谷中:やっぱツッチーじゃなきゃダメだ、と(笑)。

土谷:確か、そのときにもそんな話になったんですよ(笑)。

谷中:なったでしょ(笑)?そりゃ絶対そうなるよ。

ちなみに、レースで谷中さんと土谷さんがモメたりされたことは。

谷中:いや、意外とないね。


谷中さんと初めて会ったときのことは覚えていますか?

土谷:僕、谷中さんとは新潟で一緒に遊びに行った記憶しかないんですけど(笑)。

谷中:どこに遊びに行っていたとき?

土谷:海ですね。

谷中:みんなそう言うよね。海に行ったときの印象が強いみたい。ツッチーとはあまり飲みに行ったりはしなかったっけ?

土谷:飲みはそんなに無かったかもしれないですね。

谷中:昼間はレジャー系で爽やかな顔をし、夜はまた違う仮面を被るっていうのが、ザ・谷中スタイルだったんだけど(笑)、ツッチーとは爽やかタイムのとき一緒に遊んだんだね。夜は別行動で(笑)。でも、ツッチーも若い頃は豪遊したでしょ?

土谷:しましたね。若くして金を持つと勘違いしますから(笑)。車も買ったし、みんなを連れて池袋に行ってパーッと使ったり。相当勘違いしましたね(笑)。

谷中:JRAのお金で、かなり池袋は活性化が進んだと思うよ。あそこのビル群はジョッキーたちが建てたようなもんだよ(笑)。

土谷:元々の性格としては、自分は遊び人じゃないんだろうなとは思ってましたけど、楽しかったんで(笑)。

谷中:自分もお金があるし、周りにもそういうノリの良い人間がいるからね。そりゃ楽しいよ。

土谷:だいたい、貯金がないっていうのがおかしいですよね(笑)。あれだけ乗っていて貯金がないっていうのは、絶対おかしいですよ。

稼ぐだけ使っちゃった、と。でも、そういうのも大事だよって話を谷中さんからよく聞きますけど、土谷さんも同意見で?

土谷:賛成です。大賛成ですね。今の若い子が、部屋でゲームをやっているとか聞くと・・・。

谷中:それじゃ大きい人間になれねえ!って思うよね(笑)。部屋にこもってゲームやってる場合じゃないよ。

根っからの遊び人というわけでもない土谷さんも賛同されるということで。土谷さんって遊び人どころか、本当に穏やかな風貌をされてますよね。あまり人を押しのけてまで前に出ようという感じに見えますけど。

土谷:ああ、確かにそういうのはないですね。

谷中:でも、乗り役のときは気が強かったよね。俺、1回後ろから怒鳴られたことあるよ。あ、思い出した思い出した。

土谷:え、本当ですか?

谷中:多分、俺の馬はもう脚が無くてフラフラしていたと思うけど、後ろから「開けろ開けろ」みたいにすごくドヤされて。俺も夢中だったから、誰だろうと思って最後にパッとゼッケンだけ見たんだけど、あ、7番だと思って。あ、脳裏に出てきた!7番だった!

土谷:アハハ(笑)!

谷中:7番って誰だよ?何だよ、あの言い方!って思ったんだけど、俺も脚が無くてフラフラしてたから仕方ない、悪かったなって気持ちもあって。で、その7番に乗っていた赤い勝負服のところに近づいて顔を見たらツッチーで。そうしたらツッチーも分かって「あ、谷中さんだったんですか。ごめんなさい!」って。

土谷:あー、何かあったような気がする。

谷中:あったでしょ?で、俺も「いいよいいよ、俺もフラフラしちゃってゴメンね」って。でもあのぐらいの気の強さがないとダメよ。俺も岡部幸雄さんに「どけどけ!」って言ったことあるからね。レース後に散々ドヤされたけど(笑)。

土谷:アハハ(笑)!

谷中:でも危ないときは危ないし、自分に脚色があるときは前の馬をどかしたくなるのね。ツッチーって、普段はこんな大人しい感じじゃん?だから俺もそのギャップに驚いたもん。気の強いところがあるんだなって。ツッチーも若いときだったと思うけど。

土谷:若かったですね。今じゃ言えないっすよ。でも乗り役はみんなそうじゃないっすか?

谷中:人に道を譲るヤツなんていないもんね。強い気持ちを持っていないと勝てないよ。

性格的な話で、土谷さんは気持ちの切り替えに関してはいかがですか?上手く出来る方だと思いますか?

土谷:あまり考えない方なんで、上手くいかないことがあってもすぐ忘れちゃいますね。寝たら忘れちゃいます。もう本当に普段とか何も考えていないんですよ。

谷中:今が平穏無事に行けばって。

土谷:本当にそんな感じです。基本、頭を使いたくないんです。考えるのも嫌いで。

谷中:頭の良い人がそういうことを言うんだよね。

土谷:いや、違うんです。自分の好きなことにしか頭を使いたくないんです。

そんな土谷さんがこだわるものって何かありますか?

土谷:うーん、あまり無いかな。これといった趣味もないですからね。基本的に、家にいるのが好きなんですよね。テレビ観たりパソコンいじったり。もう少しあったかくなったら、畑で土をいじったりします。

谷中:土谷家のゴーヤ!俺、土谷家のゴーヤは関東圏イチだと思ってんの(笑)。

土谷:どういうわけか、ゴーヤは毎回すごく上手くいくんですよ(笑)。特別な肥料も使ってないし、特に手をかけてるわけじゃないんですけど。

谷中:あれは「土谷ブランド」として売れるね!市場に出しても恥ずかしくないよ。いつもたまげるもん。沖縄県民も黙るよ。「まいりました」って(笑)。

本場の人たちも唸るほどの(笑)。土谷さん、豪遊したり農業したり、40歳にしてメリハリのある人生ですね。

谷中:凝縮してるよね。しかも新築の家には凄いガレージを建てるし。

土谷:ガレージを建てるのが夢だったんで(笑)。その夢を達成しちゃったんですよ。もう満足です(笑)。

将来に向けての不安ってありますか?

土谷:そんなに深刻に考えないですね。

谷中 公一

1965年長野県生まれ。1985年、美浦の阿部新生厩舎の所属騎手として騎手デビュー。JRA通算成績145勝(うち障害3勝)。初騎乗は1985年3月10日にヤノリュウホウ(8着)。同年6月15日イチノスキーで初勝利。現役中に騎手生活の厳しい現実を綴った著書「崖っぷちジョッキー」を発表。現在は天間昭一厩舎の助手として活躍中。同厩舎ではレッツゴーキリシマやクラウンロゼなどを担当した実績もある。またその傍らドッグガーデン「WANだら~」経営者としても手腕を発揮している。

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