東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2012年10月7日]

【凱旋門賞2012】オルフェーヴルが凱旋門賞馬になっても誰もが心に残るだろう

10月4日の朝、ロンドンのホテルでBBCのニュースを見ていたら、凱旋門賞でキャメロットに世界の名手フランキー・デットーリが騎乗するとのこと。イギリスで競馬がどのように考えられているか、この報道だけでもお分かりいただけるだろう。NHKではオルフェーヴルが出走することすらニュースで流していないのではないだろうか。凱旋門賞に勝つことはオリンピックの金メダル10個分に値するというのに。


さて、7日の日曜日はパリの留学生たちと合流してロンシャンに出向く。誰もが貧しく鬱々とした研究生活をしているから、この華やかな一日を楽しみにしているらしい。今年で3年目だが、なんとなく恒例行事になりつつある。


私自身は、あの史上最高のレースといわれるダンシングブレーヴが勝ったときの初回(1986年)から11回目の凱旋門賞観戦である。ディープインパクトで悔し泣きをしてから6年の月日が経ち、今度こその祈願に燃える。


オルフェーヴルの強みはなんといっても名前がフランス語であることだ。フランス人になじみ深い金細工師なら、凱旋門賞馬になっても誰もが心に残るだろう。なんでもいいから理屈をつけて、オルフェーヴルの単勝に賭ける。文久2年(1862年)に競馬が日本で始まってから150周年の今宵、留学生たちとパリの夜の美酒に酔いたいものだ。欧米にあこがれた坂本龍馬だって泣いて喜ぶにちがいない。

【by本村凌二】

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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