東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2012年7月22日]

【アイビスSD】新潟直線は外枠有利の定石どおり

毎年、7月最終土曜日はアスコット競馬場の通称キングジョージ(キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)の日である。英国競馬最大のレースであるばかりか、凱旋門賞と並んで世界最高峰のレースの一つだ。それが来週末から始まるロンドン・オリンピックのせいで、一週早めて、21日(日本時間22日午前0時35分)に行われる。わが国のダービー馬ディープブリランテが出走するのだから、否応なく期待が高まる。


私はといえば、あいにく今年は現場には出向けなかった。でも、キングジョージ観戦歴なら16回におよび、自称日本一を誇る(笑)


今年の出走馬は計10頭。古馬の牡馬8頭は約60.5キロを背負い、唯一の牝馬デインドリーム(昨年の凱旋門賞馬)でも59キロを背負う。これに対して、3歳牡馬のブリランテは55キロで走れるのだから、5.5(4.0)キロ差をもらえる若駒にはかなり有利である。じっさい、キングジョージの歴史をたどれば、3歳馬の優勝が多いことはまぎれようもない事実である。


2冠馬キャメロットをはじめ3歳馬の参加がないという事情の詳細は定かではないが、唯一の3歳馬ブリランテの優勝は決して夢ではない。たしかに、アウェイの戦いは容易ではない。だが、しばしば現実は夢を打ち砕くにしても、ときには夢が現実を破砕することもありえるのだ。欧州以外の馬が勝ったことがないというが、歴史は塗り替えられていく運命にある。われらがディープインパクトの子どもが緑深いアスコットのターフを先頭で駆け抜ける。その歴史の大転換の瞬間を今夜は目撃しようではないか。


そんなわけで、日本の競馬はそっちのけでキングジョージに入れ込んでいるが、馬券となると話は別物。


アイビスSDは、新潟直線は外枠有利の定石どおり

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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