東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2023年6月24日]

【宝塚記念】「競馬に絶対はない」という戒めを…

また歳甲斐もない失態をやってしまった。2週間前の土曜日の深夜、深酒してタクシーで帰宅したのはいいが、自宅マンションの少し手前で降りて、歩いているうちに転んで、額を打ってしまったのだ。幸い翌日のCTスキャンで頭蓋骨内の損傷はないとわかったが、皮膚内の出血が下降してきて、いまだに左目の下がかなり大きく黒ずんでいる。あまりにも無残なので知人にスマホで写真にとってもらい、今後の戒めにすべく、紙に焼きつけてもらった次第。一週間はお酒を控えたが、今週からは深酒しないほどで節酒にしている。お酒にめっぽう強く肝臓もなんともないので、いい気になっているのだが、そのことを自分に言い聞かせておかねばと痛感している。

さて、宝塚は、現在のところ世界ランキングNo1の⑤イクイノックスが出走して、ここは競馬に絶対があるというところを見せてもらいたいものだ。

口撃機関銃ヤマさんは、もちろん⑤の強さを十分認めつつ、4・5歳の牝馬が好走するとのデータから、⑥スルーセブンシーズを狙うらしい。鞍上の池添騎手も宝塚3勝で頼もしいとか。相手本線はもちろん⑤であり、ほかに牝馬の①と⑪、実績ある黄帽の5枠2頭は要注意という。

ギャンブル狂師のミノ先生は、世界1位の⑤イクイノックスの頭は堅く、2・3着は⑥、⑨ジャスティンパレス、⑭ブレークアップを絡めて3連単6点買いで勝負するらしい。

先週の競馬で、人気薄馬からワイド総流しで8万円を獲ったと喜ぶ穴党専科のマスターだが、うまく先行できれば面白いと⑭ブレークアップに注目するらしい。⑤→⑭の馬単、3連単は⑤を頭に、2・3着には⑭と牝馬の①、⑪をからめて6点買いで行くらしい。

ところで、この初夏の時期、古馬と3歳若駒との重量差が5キロもあるのは、どう判断されるのだろうか。まがりなりにも⑰ドゥラエデーレはG1ホープフルS(2000m)を勝った馬であるのだ。斤量差をつけば、3着があっても不思議ではない。軸馬⑤イクイノックスがしっかりしているなら人気薄を狙うのが常道。ときには「競馬に絶対はない」という戒めを忘れることにしよう。


宝塚記念
⑤-⑰ ワイド1点で勝負する
⑤頭の2・3着に⑥⑨⑩⑪をからめて3連単フォーメーション12点で遊ぶ


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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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