東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2023年4月29日]

【天皇賞春】鞍上の秘策で反撃に期待!

私の戸籍上の名前は本村凌二(モトムラ リョウジ)である。だが、3年生から6年生まで熊本市の小学校に通っていたとき、本村嶺次(モトムラ リョウジ)と表記していた。母親が姓名判断を気にして、凌二は病気になりやすいとかで、音声は同じでも漢字は違ったものに変えたのだ。だから、小学校の卒業名簿には本村嶺次とあるはずだ。

中年になるころから、中学、高校、大学それぞれの同窓会を開く機会が多くなり、私は概して出席する方である。だが、遠方ということもあるが、「嶺次」表記のせいで、熊本の小学校の同窓会にはよばれたこともなかった。生涯そうだろうと思っていた。

ところが、ネットの発達した昨今だから、私のHP先に、本村凌二さんは本村嶺次くんではないかという問い合わせがあり、とうとうばれてしまった(笑)。新聞・雑誌・テレビなどにときどき出るせいか、生年と出身地が同じだから、「もしかして?」と思ったらしい。数日後に丁寧で達筆の同級女性の手紙をいただき、懐かしい想いで読ませてもらった。

ところで、中学生になると戸籍上の表記が好きだったから、元々の表記に戻したのだが、姓名判断はなんと的中! 2年間も病気で休学してしまい、中学は5年がかりて卒業したのである。これくらい馬券も的中しないものかと苦笑するしかない。

古馬最高峰の長距離G1レース。3年ぶりの京都競馬場での開催は嬉しくなる。口撃機関銃ヤマさんは、前走日経賞で8馬身差の圧倒的強さをみせた③タイトルホルダーに敬意をよせつつも、G2以上勝利実績は100%絶対条件と悪魔のささやきをもらす。典型的ステイヤーの⑬ボルドグフーシュのG1初制覇に期待するらしい。パンパンの良馬場ではないことや名手川田の連続騎乗も加味して、菊・有馬と連続2着、今度こその思いがつよい。相手本線は順当に③タイトルホルダーと①ジャスティンパレスで、馬連・馬単・3連複・3連単で狙うという。

ギャンブル狂師ミノ先生は、③タイトルホルダーの強さは別格で、こんな軸が堅いときには薄めに流すのが定石として、⑪ ⑫ ⑯ との馬連でいくらしい。穴党専科のマスターは、馬場が渋って時計がかかるならオルフェーヴル産駒の⑨ヒュミドールが人気薄で一番と狙うらしい。平成の盾男・武豊の騎乗もあり複勝で勝負するという。

ところで、菊花賞馬でも前走負け過ぎの⑥アスクビクターモアはそれほど人気がない。横山武騎手は「ここは一番勝ちたいレース」とか、なにか秘策をもつかのような感じがする。たしかに末脚はいささか不安だが、堅実な実績で3着以内ならと狙ってみたい。相手は③か⑬か、と迷うが、4歳馬の勢いに賭けて⑬ボルドグフーシュにしておこう。昨秋の菊花賞1~3着馬の熱演を期待する。


天皇賞春
⑥-⑬ ワイド1点で勝負する
①③⑥⑬ 4頭の3連複ボックス4点で遊ぶ


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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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