東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2023年4月1日]

【大阪杯】こんな混迷のときには…

先週は、日本人であり、競馬ファンでもある者には、なんという歓喜の日々があったことだろうか。WBCの準決勝・決勝戦の想像を絶するドラマチックな勝利があり、週末のドバイでは、シーマクラシックのイクイノックスの思いがけない逃切りの圧勝劇があり、さらに頂点をきわめるワールドカップのウシュバテソーロの目の覚めるような強烈な追い込み勝利劇もあった。高齢者にはもうこんな試合やレースが観る機会があるだろうか、と思うと、今なお感動で胸が熱くなる。この勝利のためか、イクイノックスは現時点では芝部門での世界ナンバーワンの評価をもらったとか。

このようなサウジ・ドバイでの賞金の高いレースが相次ぐせいか、春の中距離G1大阪杯には、そもそもイクイノックス・ドウデュース・パンサラッサのような最高級クラスの競走馬の出走はない。馬券の軸がしっかりしていないわけだが、それだけ馬券としてはおもしろいことになる。

データ派の口撃機関銃ヤマさんによれば、内回りコースの短い直線のため位置どり・立ち回りが重要なポイントになるとか。G1昇格後の2017年以降は、最終コーナーでは5番手以内が勝利の条件になるとのたまう。とはいえ、クラシックもJCも◎を打ってきた⑥ヴェルトライゼンデに相変わらず軸になってもらうらしい。6歳馬というのが多少は気になるにしても、1年半の休養があるので馬体は5歳馬とか。相手本線は⑭ヒシイグアス、⑫キラーアビリティ、⑧ラーグルフであり、単勝・馬連・3連複・3連単でいくらしい。

ギャンブル狂師ミノ先生は、5歳牝馬の①ジェラルディーナを狙うという。前走の有馬記念は出遅れ+道中外々回りで2着はあったと見ているらしい。相手は⑥・⑨・⑪・⑭に絞り、単勝と馬連4点でいくという。穴党専科のマスターは、②マリアエレーナに注目し、内枠をうまくさばけば、先行脚質を生かせるという。人気馬5頭ほどに馬連・ワイドで流すらしい。

こんな混迷のときには、やはり今年の4歳馬は強いという定番に従っておく。なかでも横典騎乗⑦マテンロウレオは阪神実績が3戦すべて連対であり、期待がもてる。もう1頭は休養明けでも2冠牝馬⑪スターズオンアースの全戦3着以内の実績がものをいうし、ルメール騎乗も心強い。桜満開の4歳牡牝馬満開でいきたいね。


大阪杯
⑦-⑪ ワイド1点で勝負する
⑦-⑪ 2頭軸の3連複総流し14点で遊ぶ


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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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