東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2020年5月23日]

【オークス】純心にレース後の余韻にひたりたい

ガリレオ・ガリレイといえば、17世紀イタリアの天文学者であり、自分で発明した望遠鏡で天体観測をし、コペルニクスの地動説の正しさを擁護したことで名高い。そのため、天動説を信じるキリスト教会の宗教裁判にかけられ、地動説の放棄を誓約させられたが、「それでも地球は回る」とつぶやいたという。

ガリレイは姓で、名はガリレオとなるので少々ややっこしいが、名のガリレオは永年の競馬ファンにはお馴染みの種牡馬名でもある。この50年余りの間、競馬の発祥地ヨーロッパの血脈は、ノーザンダンサー → サドラーズウェルズ → ガリレオを基調とする色彩で描かれていると言っていいだろう。それが、今年のオークスにどんな影を落としているか、さあ、お立合いといったところだ。

さて、吉祥寺の居酒屋「青夷」はやっと開店したが、もちろん8時まででお酒は7時までの自粛営業。開店早々、もっぱら自宅でテレワークの熟女馬券師ワフさんがさすがに徒歩1分の所に住んでいるせいか、お出ましになり、さっそく内田騎乗⑤ホウオウピースフルと⑯ウインマリリンを狙うという。日本人のおじさん騎手に頑張ってもらいたいらしい。在宅勤務で会社帰りに居酒屋に寄れない口撃機関銃ヤマは、桜花賞馬④デアリングタクトの軸馬がしっかりしているので、相手を間違えないように絞れば、きっちり的中と自信満々。重馬場だった桜花賞組からは⑩ミヤマザクラ、別路線からスイートピーS勝馬①デゼル、忘れな草賞勝馬⑦ウインマイティー、フローラS勝馬⑯ウインマリリンに流して馬連で勝負するという。ギャンブル狂師ミノ先生はヤマ見解に大方は賛成ながらも、2月にオークスを見据えて東京コースのクイーンCを走った⑩に期待できるとの深読み。相手筆頭はもちろん④で揺るがないという。穴狙いのマスターは良馬場で破壊力のある末脚を見せる⑫マジックキャッスルが美味しい馬券だと虎視眈々である。

さて、お立合いのガリレオ話。21世紀になってガリレオ産駒は凱旋門賞をはじめG1馬続出で欧州血脈の王道を進む。桜花賞の1600mからオークスの2400mに一気に伸びる距離への適性は底力の潜在する血統で判断するのが近道ではないか。ここは人気薄でも⑪リリーピュアハートを狙ってみる。母の父にガリレオがいるのは長距離戦にはなによりも心強い。しかも、この馬は前々走で東京2400mのゆりかもめ賞を勝っており、この経験は生きるはずだ。さらに、最低獲得賞金のために6分の2の出走抽選を突破した幸運がついている。もちろん相手は④デアリングタクトでみじんも揺るがない。

本来なら東京競馬場で観戦する予定だったオークスだが、せめて馬券を獲って、馬名どおり純心にレース後の余韻にひたりたいものだ。

オークス

④-⑪ ワイド1点で勝負する

④-⑪の2頭軸で3連複総流し16点で遊ぶ

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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