東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2020年1月4日]

【中山金杯&京都金杯】夢は大きい方がいい!

吉祥寺の居酒屋「青夷」は正月3日から開店。いつもより早く4時に開くから、早々に店に入って、まずは日本酒一杯をごちそうになる。ほどなく、口撃機関銃ヤマが愛妻連れでお出ましになり、なにはともあれ、一年の計は金杯にありとばかりに、金杯馬券を力説する。しかも、理屈もなく、中山金杯は◎③クレッシェンドラヴ、○⑰ザダルが、京都金杯は◎⑱ソーグリッタリング、○⑰メイショウショウブが本線だと雑念がないのだ。

やがて、長休み疲れのような顔をしてギャンブル狂師ミノ先生が登場し、恒例のごとき、ヤマとの弁戦が始まる。ミノ先生は、菊花賞の距離が長すぎた⑰ザダルが中山の狙い、2歳時にヴェロックスに勝っている実績を持ち出して⑬カテドラルが京都の狙いだというが、いずれも人気馬で相手をしぼるしかないだろう。マンカフェ産駒応援団長の熟女馬券師ワフさんは中山だけ参戦で、なにはともあれ⑧ウインイクシードに新年の願を賭ける。穴狙いに余念がないマスターは、中山の④ノーブルマーズ、京都の②マスターズアポジーをいつも買いつづけてきたので、もうそろそろと胸をふくらませる。

元旦早朝6時には深大寺の初詣をすましたが、私の願いは「無病息災」だけ。ゆめゆめ「万馬券満載」などと贅沢な祈願はしないのだ。それでも初夢馬券は大きいほどいいと欲が出る。荒れる金杯の定番通りを期待するのは偽らざるところ。

中山は人気薄の高齢馬⑬イレイションと短期免許のS・フォーリー騎乗⑨ギベオンの2頭を狙ってみる。京都は渋い岩田康誠騎乗⑫タイムトリップと前走の末脚が目立った⑪ハッピーグリンに白羽の矢を当てる。いずれのワイドもひょっとすると万馬券になる。おじさん臭い「金杯で乾杯!」といきたいが、「完敗!」の危険度は高そうだ。

中山金杯

⑨-⑬ ワイド1点で勝負する

京都金杯

⑪-⑫ ワイド1点で勝負する

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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