東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2019年7月27日]

【Kジョージ】歳月の流れをひしひしと

私が初めて外国の大レースを観戦したのは、1984年7月末のキングジョージVI世&クイーンエリザベスSである。優勝したのは前年の英ダービー馬ティノーソだったが、2着がなんとかのサドラーズウェルズだった。後に錚々たる産駒を次々と送り出し不滅の記録をうちたてた大種牡馬である。今年のKジョージにも本命⑧エネイブルの母の父として名を連ねている。

あの世界の強豪が参戦する格式高い大レースを観戦したときの感激たるや、それは今でも心に染みついている。その大レースに日本馬①シュヴァルグランが出走し、しかも馬券が買えるというのだから、35年という歳月の流れをひしひしと感じている。

ここは何が何でも馬券を勝ってレースを見たいのが人情だろう。古馬の牡が60キロ、牝が59キロに比べて、3歳の牡が55.5キロだから、断然有利だろう。今年の英ダービー馬⑩アンソニーヴァンダイクを狙うのが筋だろう。相手は、前走エクリプスS優勝の⑧エネイブルか、前走プリンスオブウェールズS制覇の②クリスタルオーシャンか、凱旋門賞には出走できない騸馬だからここが狙いの③デフォーか、われらが①シュヴァルグランか、と迷うところだ。ワイドでも10倍前後になりそうな5番人気の③に賭けてみる。

新潟のアイビスSD⑪ライオンボスと札幌のクイーンS⑬ミッキーチャームとくれば、軸がしっかりしているので買いやすい。新潟1000とくれば外枠有利はもはや常識。ところが、口撃機関銃ヤマは狙った馬が①ラブカンプー、ダイメイプリンセス、③カッパツハッチ、⑤アンフィトリテ、⑥ナインテイルズ、⑦カイザーメランジェ、⑨ミキノドラマーといずれも⑪より内枠になり、弱ることしきり。それでも⑪と⑨を中心に馬連・3連複で買うらしい。穴狙い専科のマスターは、一昨年3着、昨年4着と相性の良さそうな⑩レジーナフォルテを狙うらしい。

私は新潟が大外⑱アルマエルナト、札幌はルメール騎乗の①サトノガーネットを狙ってみる。だが、なんといってもKジョージが最大関心事。今夜はたっぷり楽しませてもらう。


キングジョージVI世&クイーンエリザベスS

③-⑩ ワイド1点で勝負する

アイビスSD

⑪―⑱ ワイド1点で勝負する

クイーンS

①-⑬ ワイド1点で勝負する

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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