東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2019年6月22日]

【宝塚記念】遅咲きの血が騒ぎ出す…

調布市のマンションの最上階に住んでいるので、ベランダから富士山が見える。寒い冬は全体が真っ白でくっきり見える。暖かくなるにつれて徐々にぼんやりとしてきて、初夏のころにはほとんど見えなくなる。でも、早朝4時半ごろに目覚めてベランダからながめると、冬場のようにくっきりと見えるのだ。山頂だけが白くなっていて、また違った趣がある。夏場に見れると、馬券を獲ったかのような、得した気分になれるのだ。

いよいよ春競馬の総決算である宝塚記念である。ここで当てないと締りが悪いのか、居酒屋「青夷」の常連組はかなり気合が入っている。口撃機関銃ヤマは海外遠征帰りは狙いづらいとあって、2000mG1を2勝している④アルアインを軸にするという。それとともに最内の絶好枠を手に入れた道悪巧者の①キセキはかなり強力な3連単・3連複の2頭軸になるという。ギャンブル狂師ミノ先生はステイゴールド産駒の本レース実績に注目して③エタリオウを狙うらしい。穴狙い専科のマスターは馬の成長を加味して5歳牝馬の⑫リスグラシューとともに、好きな馬らしい⑩ノーブルマーズを狙うという。人気薄でも道悪巧者だから、2頭のワイド1点で勝負して、「ワイドの凌」には負けないぞと意気込んでいる。

さて、その「ワイドの凌」はミノ先生と同様にステイゴールド産駒に注目するが、人気薄の⑥スティッフェリオを狙ってみる。母の父ムトトが1988年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSに優勝したとき目の前で見たのを思い出したからだ。5歳になって強くなり、その年に負けたのが凱旋門賞2着(優勝馬トニービン)だけで、同年、欧州年度代表馬になったほどの遅咲きタイプの馬だった。父も母の父も遅咲きだったから、その血がそろそろ騒ぎだしても不思議ではない。相手は最内枠の逃げ馬①キセキがいいだろう。

順調なら最強馬は②レイデオロだが、ここは応援するだけにしておこう。

宝塚記念

①-⑥ ワイド1点で勝負する

①-⑥の2頭軸で3連複総流し10点で遊ぶ

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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