東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2017年10月21日]

【菊花賞】あの馬の思い出がよみがえる…

53年前の今ごろは東京オリンピックの真最中だった。10月10日の開会式から2週間、快晴に恵まれ、雨は一滴ほども降らなかったと記憶している。ところが、今秋のお天気はどうだろう、まったく様変わりしたと嘆かわしくなる。英語でgloomy(沈鬱な)という言葉があるが、まったくそんな気分がする。

そんな雨降りの重馬場なかで向こう正面まで最後方で走りながら、鮮やかに追いこんで勝ったルーラーシップ。2011年5月の金鯱賞の同馬は本当に強かった。こんな馬こそ深い芝の上を走る凱旋門賞にでも連れていくべきだと思ったものだ。

吉祥寺の居酒屋「青夷」も悪天候で客足もたどたどしい。そんな憂鬱ななかでも口撃機関銃の矛先はくすぶらない。あいかわらずギャンブル狂師ミノ先生を相手に「菊花賞の⑫ミッキースワローは自信の本命です」と鼻息が荒い。なんでも体形が胴長でステイヤータイプだと診断しているらしい。ミノ先生は今回はオルフェーヴルの血統にならってステイゴールドとメジロマックイーン牝馬の産駒②ウインガナドルをひそかに狙うらしい。いつも穴狙いのくせに「今回は穴狙いでいく」というマスターは青葉賞2着の強烈な追込みが忘れがたく「ガリレオの血が騒ぐ」と⑩ベストアプローチを狙うらしい。

さて真打ち登場の気分でいる私だが、こうも悪天候がつづくと

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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