東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2015年11月28日]

【ジャパンカップ】あの馬が大駆けするという想像力が賭けめぐった

金曜日にフランス在住の友人と銀座で飲んだ。彼にはフランス人の妻との間に娘がいる。その娘に関係する人物が先日のパリ・テロ銃撃戦にまきこまれ4人も若い命を落としたという。痛ましいかぎりで言葉も出ないほどだ。

私の知人の留学生も現場近くに居住しているが、無事でいてホッとしている。今年の凱旋門賞の馬券を頼んでもいたからだ。そのとき狙った穴馬はイラプトで、5着だった。

今年の4月に新馬勝ちして4連勝目がG1パリ大賞、まだ⑧イラプトの成長力には底が見えない。日本の芝に適応力さえあればいいのだ。このコースのレコードは外国馬アルカセットがもつことは忘れないでおこう。

吉祥寺の居酒屋「青夷」の馬券族は外国馬軽視組と外国馬重視組と2つに分かれている。軽視組の口撃機関銃ヤマはデータ派らしく①ラブリーデイ、⑪ミッキークイーン、⑮ショウナンパンドラの人気馬のなかから⑮軸にほかの2頭と有力馬に流すとか。ギャンブル狂師ミノ先生も⑪軸にほかの2頭に流し、3着穴馬で3連単高配当を狙うらしい。重視組は熟女馬券師ワフさんがパリの平和を願って②トリップトゥパリスを狙うというから、しおらしい。逃げ馬好きのマスターにいたっては、なんと⑭イトウに賭ける。姓名が同じというから、全国のイトウ諸君、こぞって⑭を買いたまえ。

ところで

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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