東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2013年9月29日]

【スプリンターズS】武士に二言無し

シチリア島東岸の古代遺跡めぐりで1週間ほど過ごした。こちらにいる留学生などが同行してくれるので、こちとら(塩●利●風)レンター・カーを借りる金だけを払えばよく、きわめて快適だった。

今はローマのなじみのホテルにいるが、ここは部屋ごとに天井に名言らしきものが書いてある。これまでの部屋はイタリア語やラテン語だったか、今年はなんと日本語、それも「武士に二言無し」なのだ。私が日本人の常連客だと分かって割り当てたのかもしれないが。

こういうめぐり合わせは、なんとなく気にかかる。武士道といえば、私にはサクラの印象がある。かつて5千円札にもなった新渡戸稲造は、武士道について「四方の風に吹かれて散り果てても、その香気は、人類を豊かにして、人類を祝福するであろう」と語っている。

異国にいて、日本のG1レースを予想するなど、いささか狂気の沙汰。でも、寝転がって天井をながめていると、なにかしら武士道のサクラが暗示するものに思える。それなら、短距離王だったサクラバクシンオーの血をひく(1)グランプリボス、(11)スギノエンデバー、(12)アウトクラトールを狙うのが本流だろう。だが、とんでもない馬がいる。

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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