東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2013年9月15日]

【ローズS】人気の3頭から1頭を選ぶ

吉祥寺の居酒屋「青夷」のマスターは飛行機が嫌いなものだから、海外旅行なんぞはあきらめている。愛妻おタカさんは商社関係の仕事だから海外出張など当たり前。かつてたどたどしい日本語のわりには中国語もできるというので「謎の中国人」とよばれていたが、実は酔っぱらっていたから日本語の呂律がまわらなかっただけだったとか。


そのおタカさんがオーロラを見るためにアラスカ旅行のツアーに参加した。もちろんマスターはおとなしくお店を営業するだけ。ただ近くにキャバクラ「アラスカ」でもあれば、そこに入って愛妻をしのぶという噂が流れていたが。


ところが、アラスカでの3泊はどれもどんよりと曇っていて、オーロラはまったく見られなかったらしい。到着前日も帰国当日も晴れていたというから、これはほとんど奇跡に近い確率と諦めてもらいましょう。


ところで、私は来週から1ヵ月ほど渡欧する。もちろん10月6日はロンシャン競馬場にいる。そこで「青夷」常連の競馬好き数名の凱旋門賞馬券を引き受けた。合計で250ユーロ、内訳はオルフェーヴルの単勝70,複勝30,キズナの単勝40,複勝60,両馬のワイド50ユーロというわけ。これには私の分はふくまれていない。馬券としてはキズナの複勝が妙味だと思っている。まあ、日曜夜のグリーン・チャンネルで実況するロンシャン競馬場のニエル賞とフォア賞の結果次第でオッズが変動するだろうが。


さて、ローズS。オークスの1・2・3着馬そろって出走するが、これら3頭がいずれも馬券にからまない事態となれば、おタカさんのオーロラ観光不発の確率より低いのではないだろうか。どれか1頭となると

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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