東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2013年2月3日]

【東京新聞杯】そのデータが崩れることを期待して

1月28日のJRA賞授賞式後のパーティで社台の次男坊・吉田勝哉氏とお話しする機会があった。オルフェーヴルとジェンティルドンナの事実上のオーナーでもある。「去年のJCは名実ともにレース・オブ・ザ・イヤーですね」と言ったところ「いやそれどころかレース・オブ・ザ・ワールドですよ」と言い返された。まったく共感するとともに、氏の心意気には胸に響くものがあった。


さて、居酒屋「青夷」の暖簾をくぐる。まだ酒も口にしないうちから、口撃機関銃のヤマが「今週はメールの予想はしないんですか」と言い寄ってくる。「厳寒期のG3では、気乗りがしないね」と答えると、「東京新聞杯は100%自信があるんですけどねえ」と懇願のまなざしを向ける。そのセリフはお前の口から何回聞かされたことか、まだ懲りないのか、ポチ、と言ってやりたかったが、ここは大人らしく我慢のしどころ。「まあ、話だけなら聞いてもいいさ」と言ったら、データ派の口撃機関銃が嬉しそうなポチの目をして笑った。まあ、こんなデータらしい。


1)前走5着以内必須
2)前走6着以下でマイル以下の距離は不可
3)東京コース未経験、左回り未勝利も不可
4)7歳以上も不可


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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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