東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2012年12月23日]

【有馬記念】たまには馬連も買ってみる

居酒屋「青夷」でアルバイトして手伝っているおミナ姉御がいつものように総流しをせずに馬連馬券をはずした。でも「逃がした魚の大きさを嘆いていては、馬券はつづきません」と偉そうに忠告した先週の私。

ところが事実は小説より奇なりがおこるのだ。先週の朝日杯FS、(5)コディーノには逆らえないが、ローエングリンの息子(3)ゴットフリートを理屈ぬきで狙ってみた。そのうえでパソコンの前に座る。

(3)-(5) ワイド1点で勝負する

(5)と(5) の2頭軸に、(6)(9)(12)(14)をからめて3連単24点で遊ぶ

この通りに入力し、中京と阪神のレースを検討しているうちに、コクリと居眠りをしてしまった。気が付いたとき、レースは終了していた。最後の送信ボタンを押してないので、馬券を買ってはいないことになる。

こんなとき、人間のさもしさが出る。リプレーの画面を見ながら、馬券が的中しないようにと祈る自分がいるのだ。ところが、1着(14)、2着(5)、3着(3)で決まり、ワイド(3)(5)360円も3連単54880円も的中したのだから、たまらない。

これはもう、悲劇というより喜劇というしかない、貴重すぎるトホホ・・・の経験でした。

気を取り直してオーラスの有馬記念。誰もやっていないような国際的視野から検討してみよう。今年の世界のベスト3レースは、キングジョージ(優勝馬デインドリーム)、凱旋門賞(優勝馬ソレミヤ)、ジャパンC(優勝馬ジェンティルドンナ)であろう。いずれも牝馬が優勝している。

もし有馬記念にオルフェーヴルジェンティルドンナが出走していれば、この3レースに匹敵するレースになっていたはずだ。ところが2頭が回避したので、有馬記念の格は下がった。ならば

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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