東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2012年10月21日]

【菊花賞】ジェラートのように甘い汁でも吸いたいものだ。

目下ヨーロッパ最強馬どころか世界最強馬の呼び声もあるフランケルが、20日(土)のアスコット競馬場に出走する。おそらくチャンピオンS(2000メートル)が最後のレースになる。勝つか負けるかより、どれだけを差をつけるかが注目されるほど。単勝1.2倍ぐらいしかないのだ。


それでも、日本で報道されたかどうか知らないが、凱旋門賞後のインタビューでスミヨン騎手はオルフェーヴルにチャンピオンSに出走してほしいという希望を述べていた。この馬ならフランケルを負かす力があるかもしれないと思っていたのかもしれない。


それはともかく、フランケルの雄姿をこの目で確かめたい。土曜日にロンドンを出発すれば日曜日の午前中には成田に着く。菊花賞には十分間に合うはずだが、やはり一日のばしてロンドンでアスコットに足を運ぶことにした。


とはいえ、菊花賞も気になるから、拙い予想だけでもしておこう。7月末のアスコット競馬場の最高峰のKジョージ&QエリザベスS(通称キングジョージ)はもの凄いメンバーだった。おそらく今年のヨーロッパ競馬の最高位にランクされるはずだ。


そのレースに出走したダービー馬ディープブリランテだが、ここでは消すことにしていた。だが、幸か不幸か取り消したと聞く。絶好調と伝えられながら、アスコットでの入れ込みのひどさは目を覆いたくなるほどだった。おそらく精神的な適応がまるでできなかったのだ。完全に立ち直って出てきてほしい。


それに比べれば、皐月賞馬(1)ゴールドシップはかなり信頼できる。周知のようにオルフェーヴルと血統的背景が似ていて成長力がある。ここを勝って来年の凱旋門賞出走でもと期待したくなる。


ワイド1点だから、相手はわくわくする穴馬でいく。菊花賞が初出走以来

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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