競馬学校では馬に乗る以外にどのような授業があるんですか?普通に数学とかの授業もあるんですか?
伊藤:数学は無かったです。一般教養、国語と社会、あとは専門的なものです。英語も競馬の専門用語を交えた英語ですね。
例えば「ハミ」は英語で「ビット」だよ、みたいな。
伊藤:そうですね。そういう単語を覚えたりします。
谷中:あと国語と社会でしょう?一応、語学を身に付けて、社会的な教養を身に付けようったって、今の俺たちがこの有様じゃん(笑)。結局、頭に入ってないからね。身体を休めるための休憩みたいなものだよ。それが競馬学校の学科(笑)。机に向かってやる勉強は、そんなもんだよ。工真は大人しそうな顔をしているけど、学校にいた頃は何か悪さはしたの?
伊藤:うーん…、お菓子くらいですね。
谷中:誰でもやることだもんね、お菓子はね。
伊藤:他は全然、何もしてないですね。気が弱いから、そういう悪いことは出来ないです。ビビっちゃうので(笑)。
谷中:確かに見た目からして、悪いことをしなさそうだもんね。だから教官も、工真の部屋のチェックはやらないと思う。「こいつは大丈夫だ」って思うよ。もし仮に何かあったとしても、俺は怒れない。この顔を見たら怒れないもん(笑)。
教官さえ、そう思わせてしまうと(笑)。
谷中:そうそう、そういうところがズルいの。特権だね(笑)。
実際、大人しそうな風貌で、物腰も穏やかですもんね。
谷中:「コラッ!」って怒ったら、涙がポロッてこぼれそうだもん。「ああ言い過ぎた言い過ぎた、ゴメン」みたいな(笑)。
伊藤:逆に気を遣われちゃうみたいな感じですか(笑)。
谷中:そうそう。特権だよ、特権。童顔だしさ。
伊藤:顔が成長しないんですよね、なかなか。25歳くらいになったら良い顔になるのかなあ、なんて思っているんですけど(笑)。
谷中:大丈夫だよ。25歳ぐらいで顔つきも変わるし。まあ、変わらなかったら、もうイジっちゃえ(笑)。
伊藤:渋さを出すために、彫りを深くしたり(笑)。
わざわざ貫禄を出すために顔をイジって(笑)。では、競馬学校時代は大きな問題を起こすこともなかったということで、次はデビューした頃のお話を聞きたいんですけど、デビュー年で忘れられないレースはありますか?
伊藤:サザンスターディで勝たせてもらった、初勝利のレースですね。
その初勝利が10月26日でしたが、初勝利をあげるまでというのは…。
伊藤:大変な時期でしたね。
ひとつ勝てないと「本当に勝てるのかな?」と思ったりしませんか?
伊藤:そういう気持ちになりますね。
谷中:でも、工真は全然クサってなかったよね。工真のデビュー時期でどうしても避けられないのは(三浦)皇成の話でね、一緒にデビューして向こうが盛り上がるだけ盛り上がっていて、そういう時の同期っていうのも大変なんだけど、でも工真は全然クサらないで、しっかりと自分を持ってやっていたからね。そういう中で、いろんな調教師から「いや、あの子は乗れるよ」とか「筋が通っていて、芯がある」っていう話を聞いていたから。
伊藤:そうだったんですか。
谷中:人間的には大人しそうに見えるんだけど、アイツは確かな自分の芯を持っていて、自分の競馬のスタイルを貫こうとしているっていう話を聞いていたんだよね。工真にはあんまり言わないで黙っていたんだけど。
伊藤:「ちゃんと自分の考えを持ってやっていれば、見てくれている先生はいるよ」っていうことを言われたことはありましたけど、そこまで具体的に言われたことはありませんでしたね。
谷中:あんまり言うと、工真が天狗になっちゃうから(笑)。
伊藤:アハハ(笑)!
1965年長野県生まれ。1985年、美浦の阿部新生厩舎の所属騎手として騎手デビュー。JRA通算成績145勝(うち障害3勝)。初騎乗は1985年3月10日にヤノリュウホウ(8着)。同年6月15日イチノスキーで初勝利。現役中に騎手生活の厳しい現実を綴った著書「崖っぷちジョッキー」を発表。現在は天間昭一厩舎の助手として活躍中。同厩舎ではレッツゴーキリシマやクラウンロゼなどを担当した実績もある。またその傍らドッグガーデン「WANだら~」経営者としても手腕を発揮している。
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