東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2012年5月27日]

【日本ダービー】馬連1点勝負でもいいくらいだから

しばしば初体験は思い通りにいかない。自分の愛する相手が期待に応えてくれる、というのは甘い夢。そこそこそのまま、と叫んでも、もはや耐える力はなかったのかもしれない。

昭和48年、私は東京の府中市にある東京競馬場で初めて日本ダービーを観戦した。断然の人気馬ハイセイコーが絶対負けるはずがないと誰もが思っていた。初体験者だったから、なおさらハイセイコーへの信仰心は強かった。しかし、結果は、最後の直線で、がんばれると思ったのに、あっさりタケホープとイチフジイサミに抜かれてしまい3着だった。たかが競馬と思うだろうが、たいへんな衝撃だった。爾来、毎年のように競馬場に足を運んで今年で40回を迎える。


さて、ここまでは、この4月から産経新聞に毎週1回(木曜日)私が連載している「世界史の遺風」の冒頭部(5月24日付)の再録である。本当にあれから40年が経ってしまった。


ところが、吉祥寺の居酒屋「青夷」恒例のダービー観戦宴会にとっても最後の記念すべき集まりになりそうなのだ。駅前の区画整理の範囲内にあるので以前から立ち退き問題があったらしいが、建物の老朽化とあいまって、とうとう6月末で閉店することになった。


毎年、朝5時に東京競馬場正門に並んで7時の開門とともに陣取りに走るのはマスターの女房お貴さんの役割。マスターは後から悠然と来るらしいが、「俺だって飲物・食物を詰め込んだ重い荷物を運ぶのが役割だから」と弁解するところが笑える。


ダービーのスタート地点あたりに陣取って、朝からビール、日本酒、焼酎、ワインなどをがぶがぶ飲みながらの観戦宴会なのだから盛り上がらないはずがない。肝心のメインレースのころは、グデングデンに酔っぱらってしまい、出走直前の馬たちも人間の愚かさをあきれているという噂もある。


とくに口撃機関銃のヤマなどは阿鼻叫喚にも似た大声を張りあげるから、外枠発走の馬は毒気にあてられそうで気の毒きわまりない。そのヤマは(10)ディープブリランテ、逃げ馬好きのマスターは(14)トーセンホマレボシ、謎の馬券師リンさんは(8)ワールドエースを狙っているらしい。


今年のダービーは

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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