東大名誉教授が射抜くワイド1点

[2026年5月3日]

【天皇賞・春】テイオーの影がちらつく春の盾

35年前の話だが、最初の無敗の三冠馬シンボリルドルフ産駒のトウカイテイオーという馬がいた。 前年の二冠馬でダービー後に故障し、長期休養を余儀なくされていた。翌春、復帰初戦を鮮やかに勝って、天皇賞(春)に挑戦する。迎え撃つ相手馬の筆頭にメジロマックイーンがいた。

前々年の菊花賞、前年の天皇賞(春)など長距離戦をことごとく勝っていたから無類のステイヤーとして称賛されていた。もはや「世紀の対決」としてもてはやす以外になかった。この雰囲気に乗じて、私もわざわざ淀の京都競馬場まで観戦に行ったほどだから、競馬ファンの盛り上がりは察していただくしかない。無敗の二冠馬と最強のステイヤーが淀3200mで対決するのだから、もう狂騒するしかないのだ。

レースの焦点はトウカイテイオーが長距離戦でこれまで中距離で誇示した強さを発揮できるかどうか、の一点だった。結果は、最終3コーナーまで逃げるマックイーンにテイオーが追いすがって並びかける。いよいよ2頭のマッチレースかと誰もが胸を躍らせたのだが、それまでだった。テイオーは力尽きたかのようにずるずる退いていき、もはやマックイーンの独り舞台だった。5着だったが、あれ以後、JCや有馬記念を制する力があったのに、テイオーには長距離不向きのレッテルが貼られたままであった。

どうも、このトウカイテイオーのイメージが今回の⑦クロワデュノールの春天挑戦に重なって仕方がない。たんなる杞憂のすぎなかったと思わせる同馬の力強い姿を願いつつ観戦しよう。

入院・手術で10日ほど世間から遠ざかっていた稿撃機関銃のヤマちゃんだが、退院してやっぱり「シャバの空気は美味しっすね」と思ったそうな。⑦クロワデュノールは1頭抜けた存在ながら距離適正未知数、前年の覇者⑫ヘデントールは復帰の前走が負けすぎ、それならこのところ長距離で安定した力を見せている③アドマイヤテラが信頼できる。いっそのこと③-⑦の馬連・馬単でいくらしい。

ギャンブル狂師ミノ先生は、目黒記念で勝者アドマヤテラと同タイムで2着の⑭ホーエリートが人気薄手狙いごろと期待して、同馬から3強の③⑦⑫に馬連・ワイド・3連複で流すらしい。穴党専科の元マスター・ジュンさんは、前走バテずに走っていた⑮ヴェルテンベルクに注目して、やはり有力馬数頭に馬連・ワイド・3連複でからめるらしい。

さて、ここは距離不安の⑦より距離実績のある③アドマイヤテラ⑫ヘデントールを馬券的に面白いのでワイドで賭けてみる。


天皇賞・春
③-⑫ ワイド1点で勝負する
③⑦⑫ 3頭の3連単6点で遊ぶ

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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