元教官・蓑田早人の蓑田塾
才能あふれる穴ジョッキー
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こんばんは。蓑田です。
今週は
大野拓弥について取り上げてみようと思う。
クイーンSでは堀宣行厩舎の
サトノセシルに騎乗する。21期生なので私が教えた三世代目になるが、とにかく最初から才能を感じる子だった。
なにを教えてもすぐに覚えるし優秀だったが、少し気持ちの方で緩いというか、欲がないというか、ぼんやりした面があったので、厳しく教えてくれる杉浦宏昭調教師に預けようと考えたのを覚えている。
デビュー戦は名古屋で、最初の騎乗で落馬してしまったんだ。その時はちょうど杉浦調教師と一緒にレースを見守っていて、まずいことになったとまずは私の方から謝ったんだが、杉浦調教師の方も「いや、あの馬はスタートが良くないから、新人に乗せるべきじゃなかった」と言ってくれて…。
その時はこれからどうなるかと思ったが、それから1、2か月経った頃、杉浦調教師から「いやー蓑田さん、良い子を預けてくれてありがとう。あの子は天才だよ!乗せるのが面白いよ!」と、急に電話があったんだ。何を見てそう言っていたのかは覚えていないが、教官になってからそんな電話を調教師から貰ったのは初めてだったから驚いたね。
今もリーディングを争ったり、G1で良い馬に乗ったりという立場ではないが、技術に関してはずっと一流だと思っている。私の立場ではあまり気にしたことは無かったが、単勝万馬券の馬で多く勝っているとか、馬券の回収率が良いとか、そういう面は“天才”というに相応しいのかもしれないな。
勝ち星が伸び始めたのは高木登厩舎の馬に乗るようになってから。あとは、若い頃は「欲がないことだけが大野の弱点」と言われていたが、中堅からベテランという立場になって、一つ一つの勝ち星にこだわる気持ちが強くなっているのかもしれないな。
クイーンSのサトノセシルは他にも先行馬が多いので展開次第といったところだが、
大野拓弥の日曜一番は大野らしく穴で面白そうな
7Rの
タイセイルージュ。
函館での2戦は秋山稔樹が乗ってどちらも9着だったが、今回は結果を出している大野に戻る形。初勝利を挙げたレースが展開を読み切ったような仕掛けからの金星だった。
斤量有利な3歳馬だし、春の1勝クラスで戦っていた相手を考えればここまで負ける馬ではないはず。大野の天才っぷりが見えるような騎乗で巻き返してもらいたい。
日曜の騎乗一覧と評価
レース | 条件 | 馬名 | 評価 |
函館3R | 芝2000m | ゲンパチムサシ | B |
函館4R | ダ1700m | シーズナルウィンド | B |
函館7R | 芝1800m | タイセイルージュ | A |
函館8R | ダ1700m | プルスウルトラ | A |
函館9R | 芝1200m | ナイトコマンダー | B |
函館11R | 芝1800m | サトノセシル | B |
先週のアイビスサマーダッシュはなかなか面白いレースになった。
私は直線競馬に騎乗したことがないのであまり詳しくは言えないが、ああいった形で最内の進路を選択するのも、馬の個性によってはあり得る作戦なのかもしれない。
(スタッフ注:蓑田早人氏の現役騎手引退は2000年、新潟競馬場の改修は2001年)
バカラクイーンに騎乗していたのは先日のコラムで詳しく取り上げた菅原明良。レース後に調教師の指示だったという旨のコメントをしていて、武井亮調教師も「負けて批判されたら俺が責任を取ってやるからと言っていた」という話をしていたが、果たして全てがその通りだろうか、と少し感じた。
私が騎手だった時代は、負けたら怒られるし、勝っても調教師の指示通りに乗らなければ怒られたし、危ないことをした若手を先輩が怒鳴りつけることも日常茶飯事だった。調教師が「負けたら責任は俺が」なんて言うとは、少し信じられないな。
勝ったオールアットワンスと2着のライオンボスが直線競馬のセオリー通りという形で好走しただけに、一層バカラクイーンと菅原明良の奇襲が目立った。とはいえ、競走馬は基本的に他馬と併せたり、前の馬を目標にしたりすることで走る気を出すもの。逃げ馬でもないバカラクイーンがポツンと1頭だけで最後まで集中できたのは、鞍上の頑張りもあったのだと思う。
今週も平地の重賞は一つだけ。実績を考えるとマジックキャッスルが大きく崩れることはないだろう。
日曜日の戸崎圭太騎手はマジックキャッスル1頭だけのために函館に行くようだ。今週は重賞がクイーンSしかないので動きやすいが、こういう時に新潟でも重賞があると騎手は大変だ。
私が現役だった時代との大きな違いとしてエージェント制がある。良い点、悪い点は色々と議論されてきたが、単純に「騎手が調教師に依頼を断ることを直接謝らなくていい」というのは大きいんじゃないか(笑)
どうしても立場は調教師の方が上だから、関係が悪くならないように依頼を受けられない時は理由を説明しないといけないが、毎週いくつもそんなことをしているとどうしても疲れてしまう。こういう交渉事で間に人が入るというのは当事者として単純に楽になると思う。
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