元教官・蓑田早人の蓑田塾
大事なお手馬で一発!
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こんばんは。蓑田です。
今年は既に8勝を挙げていて好調の
石川裕紀人騎手。
楽しみに見ていたクイーンCのモカフラワーは見せ場までだったが、昨年は重賞2勝。大きい舞台で騎乗する姿が増えてきているのは嬉しいね。
ここまではだいたい年間20~30勝という成績が続いているけど、学校に入った時から技術があって飲み込みも早いタイプで、能力からすればもっとチャンスを貰えて勝ち星が伸びても不思議じゃない。今年が転機の1年になるといいんだけどね。
欠点を挙げるとしたら、神経質というか、自分の考えやポリシーを曲げなかったリ、目上の相手のアドバイスを素直に聞き入れられないところかな。今は大人になっているけど、学校にいた頃は教官とぶつかったり、研修先で松岡(正海騎手)の言うことを聞かなくて松岡から私のところに相談がきたりと、大変なこともあったな。
一つのエピソードとして、石川は学校に入る時から「凱旋門賞に乗りたい。勝ちたい」と明言していたんだ。騎手にもなっていないのにそんなことを言う生徒はなかなかいなかったね。
それで、凱旋門賞を目指すからってヨーロピアンスタイルを自分で練習してそれで乗っていたんだが、競馬学校はアメリカンスタイルで教えるので実技では教官に乗り方が違うと注意されるんだ。そのたびにワーワー言い合っていてね。石川の代は私は実技の担当ではなかったんだが。
それである日、見かねて石川を呼び出して、「ヨーロピアンスタイルで乗るなとは言わないから、うるさい教官の時だけ怒られないようにアメリカンスタイルでやったらどうだ」という話をしたんだ。そしたら、すぐに2つのスタイルを使い分けるようになった。
簡単に言っているけど、学校の生徒が2つの乗り方を簡単に使い分けるなんて、誰でもできることじゃない。やっぱり技術があるんだなと感心したよ。今の石川もヨーロピアンスタイルとアメリカンスタイルの両取りのような、独特なフォームで乗っているよ。
そんな感じで我の強い子なので、自由にやらせてくれる相沢厩舎に入れたのも正解だったね。相沢厩舎には横山琉人もいるが、上とはぶつかる割に横山琉人に対しては良い先輩としてやっているようだよ。相沢先生も「琉人の技術面は全て裕紀人に任せてます」と言っていたね。
日曜日は東京で10鞍に騎乗。特別戦で関西馬の依頼を受けたりと充実しているが、勝ち負けなら今回で5戦続けての騎乗となる国枝栄厩舎の
12R・
ベルクワイアが一番だろう。
癖馬でポカがあるが、石川が乗って2着が2回。最初は低迷期に「上位のジョッキーに頼めないから」とたまたま回ってきた形だったようだが、今は「ルメールなんかに取られないように自分で勝たせる」と言うほど大事なお手馬の1頭になっているそうだ。
日曜の騎乗一覧と評価
レース | 条件 | 馬名 | 評価 |
東京1R | ダ1400m | ロジヴィクトリア | B |
東京2R | ダ2100m | キャノンコア | C |
東京3R | ダ1600m | アプサラー | B |
東京4R | ダ1600m | クインズハッピー | B |
東京5R | 芝1800m | イルモンド | B |
東京7R | ダ1600m | ビヨンドザファザー | A |
東京9R | 芝1800m | フィオリキアリ | B |
東京10R | ダ1400m | トウカイエトワール | B |
東京11R | 芝1800m | エイシンシュトルム | C |
東京12R | ダ1400m | ベルクワイア | A |
来週には今年最初のG1フェブラリーSが行われる。海外に向かう馬、中距離のレースにこだわる馬がいるので今年はやや手薄なメンバーになるようだが、色々な意味で注目を集めるのがソダシだろうね。
初めてのダート戦だったチャンピオンズCがあの負け方。懲りずに再びダートを使うのがまずは意外なところだけど、一つソダシに関しては可能性を感じる面もある。
こういう馬のダート適性を考える時には「ダートコースでの追い切りをやっているか」と「その追い切りで最後の1ハロンの時計が出ているか」が大切だと思っている。
ソダシの場合、この中間は坂路とウッドだけだが、チャンピオンズCの時にダートコースで追い切りをやっていて、その時の1ハロンが11秒2。しかもダートのOP馬を追走して先着したものだった。
ダートの適性がからっきしだったら、たとえ追い切りでもなかなかこういう時計は出ないものなんだ。だから、チャンピオンズCはダート適性以外のところに敗因があったのかもしれない。
今回は東京のマイル戦。距離は今までの実績からしてもマイル戦の方が良いだろうし、あとは例えば外枠を引いて無理せず運べた場合だとか、何か力を出しやすい条件が整えばチャンスが出てくるかもしれないよ。
人気になりがちな馬だし、前走の大敗もあるので本命するかとなると難しいけど、とにかく来週は追い切りの内容や枠順に注意しておきたいね。
今週の日曜重賞は共同通信杯と京都記念。先週のきさらぎ賞では逃げたメイショウゲキリンが3着に粘って穴をあけたけど、少頭数で共同通信杯も前に行く馬が少ない組み合わせ。個人的にはレッドモンレーヴかビーアストニッシドが先行できれば面白いんじゃないかと思っている。
京都記念は上位人気で決まりそうな感じがあるけど、大穴で少しだけ気になるのがアフリカンゴールド。中日新聞杯は恵まれた2着だろうと思っていたけど、次の日経新春杯でも5着。中日新聞杯を走った馬はその時の着順に関係なく次のレースで好走が続いていて、一見大荒れの凡戦に見えたけど、実はレースレベルが高かったのかもしれない。国分恭介も色気を持って乗るだろうからね。
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