元教官・蓑田早人の蓑田塾
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こんばんは。蓑田です。
今週の日曜日は中京でチャンピオンズCが行われるため、ローカル場にリーディング上位の騎手が集まるという珍しい状況になる。
そこで、G1裏の中山で固め打ちがあるんじゃないかと期待しているのが
横山和生騎手。去年の後半から一気に成績を上げてきたが、今年は年間を通じてその勢いをキープできた。74勝で全国リーディング10位というのは本当に立派だ。
長らく年間10勝程度にとどまっていた騎手がキャリア10年目あたりで急に復活するというのは美浦だとかなり珍しいが、和生の場合は“欲がなかった”ということに尽きる。
技術的には昔から十分過ぎるほどだったし、正直今でも武史より馬乗りそのものは上手い。それに、何でも器用にこなすし学校にいた頃から出来ないことはないという生徒だった。
ただ、とにかく欲がない。やる気がないのとは違うが、できる範囲で満足してしまって上を目指そうという気持ちが薄いというのかな、とにかく勝ちたいという気持ちが薄いのは騎手として致命的だったんだ。
学校に入ってくる時には親との面談もあって、もちろんノリと話したということだが、その時から「頑張らないんだコイツは。だから殴ってでもヤル気を出させてくれよ」なんてことを言われたよ。ただ、言われたことだけは何でもキチっとこなすから怒ることもできなくてね。
そんな和生が“人が変わったようになった”のは、武史が活躍し始めてから。武史がデビューする時に話した時も「これからはうかうかしていられません」なんてことは言っていたが、弟がどんどん勝ち星を重ねて重賞にも乗るようになって、尻に火が付いたという感じかな。
そこからは色々な面で意識が変わったようだね。栗東の厩舎と関係を持つようになったり、レースでも途中で諦めるようなところが無くなったり。勝てなかった時期は、例えば1800mのレースに乗っていて、自分の馬が勝ち負けにならないと思うと残り4ハロンでやめてしまうような子だったからね。
今は元々の技術に前向きな気持ちが加わり、勝ち星が一気に増えたことで勝つ喜び、もっと勝ちたいという気持ちも増してきたように思う。来年以降も兄弟で切磋琢磨してくれるだろう。
日曜中山は2Rから10Rまで9鞍連続の騎乗。ほとんどが有力馬なのでどれが勝つかというよりいくつ勝つかだが、馬券的な意味でも面白そうな1頭が
8Rの
ホウオウセレシオン。関西馬が一本被りになりそうなメンバーだが、能力は見劣らないだろうし展開利も見込めそうだ。
おまけで、日曜中山でもう一人注目の騎手が
大野拓弥。乗り替わりで結果を出すのが上手いと以前から思っている騎手なんだが、日曜は中京でG1が行われる影響もあり、ほとんどのレースが乗り替わりでの騎乗。こちらは極端な話、全てのレースの単勝を買って見ていても楽しめそうだよ。
日曜の騎乗一覧と評価
レース | 条件 | 馬名 | 評価 |
中山2R | ダ1800m | フォーワンセルフ | B |
中山3R | 芝1600m | キセキノエンジェル | A |
中山4R | ダ1200m | フロイトセンス | A |
中山5R | 芝2000m | キタサンドーシン | A |
中山6R | ダ1200m | ナックドロップス | B |
中山7R | ダ2500m | カフェキング | A |
中山8R | ダ1800m | ホウオウセレシオン | A |
中山9R | 芝1200m | スイートクラウン | A |
中山10R | ダ1800m | デルマオニキス | B |
ジャパンカップは福永が乗っていたコントレイルが有終の美を飾り、2着にはルメールのオーソリティ、3着には川田に乗り替わった今年のダービー馬シャフリヤール。力通りの堅い決着になったと言えるだろう。
ただ、私の立場からレースを観ていて印象に残ったのがキセキとアリストテレスの2頭だった。着順的には10着と9着だったがなかなか面白い内容だった。
和田竜二騎手が乗ったキセキは、スタート直後は全く行く気をみせずに最後方。逃げると予想していたファンや記者も多かったと思うが、それとは真逆の位置取りになった。
しかし、そこから向正面で一気にマクり切って、4コーナーでは去年と同じような大逃げの格好になった。和田は1~2コーナーを回るところで既に外に出していたし、こういう作戦もある程度狙っていたのだろう。
ああいう競馬は距離が長いと感じる時には有効なこともある。最初から逃げるよりも途中から自分のタイミングで仕掛ける方が気分よく進められることもあるからね。ただ、今回は進出開始をあと1ハロン我慢できていればというところだった。馬自身も向正面に入ったところで行く気になっていたので仕方ないが、あと少し待ってから動き出せばもっと惜しいところまで粘れていたかもしれない。
ただ、こういう競馬をしてしまうと、次のレースは本当に難しくなる。有馬記念で引退のようだが、あの競馬をしてしまった直後に控えて折り合うのは相当難しい。まともなレースをして力を出し切りたいなら、最初から逃げるしかないんじゃないかな。
一方で、キセキがいないのを見てハナを切ったアリストテレスと横山武史騎手。結果的に9着に負けたので批判もあるかもしれないが、個人的には良い判断、良い作戦だったと思っている。
まさかキセキがあんな大胆な作戦を考えていたとは思わなかっただろうし、あのままスローの逃げで引き付けていればアリストテレスに展開が向いていた可能性は十分にあった。結果は出なかったが、アリストテレスの逃げは今年のG1で場数を踏んだ武史の成長を示すものだったと思うよ。ただ、こちらも次の有馬記念は作戦が難しくなってしまったかな。
その後に行われた京阪杯は、出走16頭のうち12頭の鞍上が私の教え子だったのに、よもや教え子でない秋山真一郎騎手と幸英明騎手で決まるとは…。ファストフォースに乗っていた小崎綾也騎手は勝てば久々の重賞勝ちだっただけに惜しかった。
ただ、秋山も2年ぶりの重賞勝利ということで、それはそれで嬉しいことだ。秋山は現役の騎手では一番真面目でキチっと乗るヤツで、若手のいいお手本になってもらいたいと思っているんだ。今回の勝利を励みに、まだまだ頑張ってもらいたいね。
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