元競馬学校教官・蓑田早人の蓑田塾

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最後の全力投球に注目!

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今週の重賞はどちらも少頭数。しかも上位の数頭がしっかりしていて、馬券的には絞って考えないといけないかな。

共同通信杯はやはりジャンタルマンタルとエコロヴァルツの2頭。京都記念はベラジオオペラ、ルージュエヴァイユ、プラダリアの3頭。

穴馬を挙げるなら共同通信杯はパワーホール、京都記念はラヴェルくらいだが、先週ほどの自信はないね。ラヴェルは除外などの都合ながら、一度デムーロ騎手に替わるのが刺激になればという感じだね。

あと、日曜日の競馬でいうと、2月末での引退が発表された川島信二騎手がオースミハルカの産駒に騎乗することが話題になっていたね。

川島は17期生で、私が教官になった時に3年生だった世代。同期は石神深一や小坂忠士など、不思議と障害で活躍している騎手が多いのが17期生なんだが、土曜日は大庭和弥騎手が勝っていたな。

川島といえば、騎手になってからも毎年ずっと競馬学校にお中元を贈ってくれていたのが教官としての思い出だね(笑)

最初の何年かは贈ってくれる騎手もいるけど、10年、20年と義理堅くずっと贈り続けてくれていたのは川島くらいだったよ。

一昨年は年間2勝、昨年は年間4勝だったのに、今年は1月だけで3勝。何が変わったのかと思っていたが、引退を決めて最後の全力投球……ということだったのかもしれないね。それほど残りの騎乗は多くないかもしれないが、秋山真一郎騎手とともに最後まで注目したい。

日曜の騎乗一覧と評価

レース条件馬名評価
京都3Rダ1800mデルママントラC
京都6R芝2000mナリタマフディーB


先週の東京新聞杯は注目の1頭として取り上げていたサクラトゥジュールが勝利。まさか勝つまでとはと驚いたが、レイチェル・キング騎手が上手かった。

今回のレースぶりを見ても、やはり難しさのある馬。個人的には頭を上げて引っ掛かりそうになっていた3コーナー付近の数秒間、あそこでしっかり我慢させたのが勝因だと思ったね。

直線で追い出してからしっかり伸びてこられるのも、向正面から3コーナー、4コーナーに掛けてしっかり折り合って脚を溜められていたから。目立たないところだが、サクラトゥジュールのような馬は道中どれだけ良いリズムで運べるかが大切だよ。

比べちゃ悪いが、朝日杯FSでシュトラウスを暴走させたマーカンド騎手とは真逆だよ。女性騎手としてもう日本で重賞2勝。キング騎手はかなり上手いと思うね。

もう一つ、今週は3月からデビューする新人騎手の発表があった。この世代の学校の生徒はもう直接見ている訳ではないので、またデビューしてから競馬ぶりを見ていこうと思っているんだけど、気になったのが障害騎手として合格した坂口智康騎手。

視力の問題で競馬学校の騎手過程の試験は受けられず、その後乗馬で活躍して、厩務員として競馬の世界に入ってきたそうだ。

試験を受けられていないので私はこの人のことは知らなかったんだが、近い経験はあってね。

例えば、競馬学校の試験を受けたが合格できず、それでもこの世界に関わりたいと厩務員としてトレセンに入ってくる子というのは少なくない。

過去にはそうやってトレセンにいる子に対して、「受ける資格はあるんだから、今からでも騎手試験を受けてみたっていいじゃないか」ということを言ったこともあるんだよ。

とはいえ、なかなかハードルが高くて実現しなかったんだけど、一昨年は小牧加矢太騎手が合格して、今回はついに調教助手からの転身という騎手が誕生した。

こうした動きは、騎手を目指している、もしくは未練がある人たちにとっての希望になるはず。合格できるだけの技術や情熱があるのなら、平地の免許でもチャレンジしたっていいんじゃないかと思っているよ。


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蓑田早人・プロフィール

卓越した騎乗技術を武器に、騎手として北海道などローカル開催を中心に活躍。引退するまで、日本騎手クラブ副会長を務めるなど騎手の地位向上にも尽力。その後、競馬学校の専任教官へ就任(石橋脩騎手ら第19期生より指導を担当)。川田将雅騎手、松山弘平騎手をはじめ、吉田隼人騎手、三浦皇成騎手、藤田菜七子騎手など教え子が多くいる。

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