元競馬学校教官・蓑田早人の蓑田塾

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積極性の違いが大きく結果に影響

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こんばんは。蓑田です。

今年の新人騎手のレースぶりを比べてみると、勝っている小沢、永野とそれ以外とでは成績に直結する大きな違いが一つある。

それが、スタートを決めた後に良い位置を取りに行こうとする姿勢の強さの違いなんだ。小沢と永野は良いポジションに付けるまでとことん頑張って乗る。

それ以外も最初はポジションを取りに行こうとするが、途中で諦めたり、自分では良いポジションが取れたと思い込んで安心してしまうんだ。

レースの中では1頭や2頭分、もしくは一列くらいの小さな違いだが、減量を活かして勝ちに行くとなると、少しの積極性の違いが大きく結果に影響してくる。

小沢は以前も話したように、馬に乗る技術という面では37期生の中でも特に心配が大きかった。それでも勝てているのはポジションを取りに行く姿勢とか、レースの流れに乗るセンスとか、実戦向きの力を発揮できているからなんだと思うよ。

日曜日の小沢は中京で6鞍に騎乗。今回の話題からいくとダート戦か短距離戦の馬を推奨すべきなのだろうと思ったら、6鞍全てダート戦か芝の1200m戦だった。依頼する厩舎側も分かっているということか。

4Rヒロノクイーンは小沢で未勝利戦を勝って、昇級後の2戦は松本大輝が乗って2、4着。連闘かつ乗り替わりという形になっているが、先週の競馬が躓いて位置取りが悪くなり不完全燃焼だったことも影響していそうだな。

小沢が乗って勝たせた3走前は、しっかり好位に付けて抜け出して快勝。このクラスでもメドは立っているし、その時と同じ競馬ができれば勝ち負けになるんじゃないか。

日曜の騎乗一覧と評価

レース条件馬名評価
中京2Rダ1800mクリノセキトバB
中京3R芝1200mメイショウトリデC
中京4Rダ1400mヒロノクイーンA
中京7Rダ1200mジュランドB
中京8Rダ1800mアサケレディB
中京12Rダ1400mアメージングランB


こんばんは。蓑田です。

先週の競馬で新人の永野猛蔵騎手と小沢大仁騎手がともに20勝に到達した。これまでも何度か取り上げてきたデビュー1年目の37期生。この二人は今年中に30勝を超えてくるだろう。もちろん、他の騎手たちにも期待している。

さて、この機会にここまでの二人の勝利の内訳を調べてもらったのだが、永野が芝4勝に対してダート16勝、小沢も芝5勝でダート15勝という成績だった。

距離別に分けてみても、永野は1600m以下で13勝、1700m以上では7勝。小沢の方は1600m以下で9勝、1700m以上で11勝だが、1700mでの11勝のうち8勝はダート戦でのものだった。

整理すると、どちらも芝よりもダートで勝っていて、ダートなら距離は問わないが、芝は短距離ほど好成績。つまり、芝の中距離戦ではまだほとんど勝てていないということになる。

私はこうやってデータを調べることはあまり得意ではないというか普段は意識していないのだが、こうやって実際の数字を見てみると、何となく実感として分かっていた“減量騎手が勝ちやすい条件”の通りだと感じた。競馬ファンの皆さんも、減量騎手は短距離戦やダート戦で狙いたくなるという経験則のようなものがあるのではないだろうか。

理由を考えてみると、ダート戦は綺麗な追い込みが効きにくいというところがある。平均ペースのまま流れていって、直線で追い出してからはそこまでのスピードをいかに維持できるかの勝負になる。そこで減量騎手だと軽い分だけスピードが落ちにくいのでそれだけ恩恵を受けやすい。

もう一つ、短距離戦やダート戦で有利なのは、若い騎手ほどスタートが上手いということ。やっぱり新人、若手はスタートを決めて前に行って減量を活かさないと勝負にならない訳だ。

これはスタートを出す技術がベテランより上という訳じゃなく、怖いもの知らずだから速いんだ。どうしてもキャリアを重ねてスタートで怖い思いをすると、ゲート内の馬の動きや仕草に対応してしまい、スタートで失敗ことがある。

逆に、経験が少ない新人の方が、馬が多少横を向こうが潜ろうとしようが気にせずスタートに集中するので、しっかりゲートが開いた瞬間にポンと出ていけるんだ。

ただ、これも良い事ばかりじゃない。馬の危ない仕草を気にしないせいで、ゲートを潜られたり、立ち上がったり、前扉に乗っかったりされて、出遅れどころか馬体検査、競走除外になってしまうことがある。やらかしてしまうまで危険な兆候に気付けないんだな。ゲート内での発送前のトラブルは若い騎手の方が多いはずだ。

新人騎手が芝の2000mや2400mといった条件でなかなか勝てないのは、言われてみると確かにと思うところ。

こういう条件はスタートを決めて前に付けたらそれだけで何とかなる訳じゃないし、道中のペースの緩急にも対応しないといけないし、仕掛けるタイミングも経験を積まないと難しい。それこそ、ダート戦と同じつもりで乗っていると、差されての2~3着も多くなりそうだ。

そもそも、芝の中距離戦では新人騎手には勝ち負けになるような馬自体がなかなか回ってこないという側面もあるだろうか。つまり、芝のこういう条件で勝てるようになったら騎手としてレベルが上がったと考えてもいいのかもしれない。


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蓑田早人・プロフィール

卓越した騎乗技術を武器に、騎手として北海道などローカル開催を中心に活躍。引退するまで、日本騎手クラブ副会長を務めるなど騎手の地位向上にも尽力。その後、競馬学校の専任教官へ就任(石橋脩騎手ら第19期生より指導を担当)。川田将雅騎手、松山弘平騎手をはじめ、吉田隼人騎手、三浦皇成騎手、藤田菜七子騎手など教え子が多くいる。

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