うまスクエア

第87回［2012年3月23日］

【師匠と弟子】吉田豊騎手×サンカルロに注目

【美浦の『聞き屋』の囁き】

●師匠と弟子●

芝は基本的には前残りだが、上りが総じて掛かるので差しも届く。ダートは向正面でペースダウンすることと、コーナーで進出すると外を回るロスが大きいので圧倒的に逃げ・先行が有利。これがここまで３週間行われた中京競馬場の印象。

中京競馬場新装１週目に取り上げた「４週目だけではなく、１週目も騎乗していれば経験が大きなアドバンテージになる」という師匠・大久保洋吉調教師の判断で遠征した吉田豊騎手。なんのためのアドバンテージかといえば、今週の大一番、高松宮記念に出走するサンカルロのためだ。

普段ローカルで騎乗していない多くのリーディング騎手は初中京、または新装初１２００ｍ芝を当日体験することになるはず。もちろん、腕利きばかりなのですぐに特徴はつかむのだろうが、やはり経験値は多いに超したことはない。そこで１週目の吉田豊騎手は重賞で騎乗するための遠征ではなく、サンカルロのために中京へ。今週も経験値を貯めてのレベルアップに余念がな
い。

どういうことかというと、普通ならば高松宮記念が行われる日曜日だけ中京に行くものだが、ここも師匠の指示で土曜日も中京で騎乗することになったようだ。その土曜日、中山では日経賞が行われ、本来なら吉田豊騎手は前走重賞を勝ったケイアイドウソジンで連勝を狙うはずだった。

師匠の一声で急きょ中山をキャンセルして、サンカルロのヴィクトリーロードを見つけるために中京へ。脚質的に差し・追い込み系のサンカルロが内を狙えばいいのか、外に出した方がいいのか、競馬をしながらそんなことを考えるのかもしれない。１８頭中４頭しか出走していない関東勢の大将格。なんとか一矢報いてほしいものだ。


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【関西事情通のちょっとイイ？話】

●東上最終便を制するのは!?●

先週のスプリングＳではＭデムーロの話をお伝えしたグランデッツァが快勝、土曜日の若葉Ｓでもワールドエースが圧倒的な勝利を収め、東高西低と言われていたトライアル戦線を覆し、本番皐月賞でも恐らく関西馬が最有力候補に挙がるだろう。

皐月賞トライアルとしては、この２鞍が最終戦だが、関西では「東上最終便」と昔から言われている重賞がある。今週土曜日に行われる毎日杯だ。

その最終便に相応しい好メンバーが揃い見応えがありそうなレース。人気は実績的にヒストリカル、アドマイヤブルーとなりそうだが、先週のワールドエースと同じ池江泰寿厩舎から「ワールドエースと甲乙付けがたい素質馬」と言われているのがマウントシャスタ。実はワールドエースとマウントシャスタ、元騎手の川合助手が両方とも跨っているのだが「どっちもかなりの大物感がある」とデビュー前から言っていた馬でもある。ワールドエースの様にハデさは無いものの「まだ遊び遊び走っている」状況で２連勝。特に前走は、出負けして後方からの競馬ながら、内伸びの馬場を外からマクって勝つという強い競馬を見せたマウントシャスタ。３戦目となる今回は「デビューしたから一番良い状態」との事。きさらぎ賞でヒストリカルはワールドエースに完敗、その比較からすればアッサリ勝っても良いはずだ。池江泰寿厩舎の「二の矢」が飛ぶか!?

そのマウントシャスタも注目なのだが、新馬を勝ったばかりながら秘かに「東上」を狙っている馬もいる。浜中騎手鞍上のエロイカ。その新馬戦はメンバーが弱かったことと勝ち時計が遅い事で目立った存在になっていないが「久しぶりにこんな乗り味のいい馬に乗りました」と浜中騎手が話していた馬でもある。その新馬戦「４コーナーを回る時にキックバックの芝が飛んできて一瞬怯んだんです。その分、反応が悪かったんですが、エンジンが掛かってからは期待通りの瞬発力を見せてくれました」との事だった。勝ち時計は遅いが上がり３ハロンのレースラップは12.1-10.8-12.4、このハイラップをアッサリ差し切り最後は流す余裕まであったレース内容は、浜中騎手の言う通りケタ違いの決め手。新馬を勝ったばかりの２戦目で重賞挑戦、厳しいレースにはなるだろうが未知の魅力に富んでいるのはこの馬かもしれない。