うまスクエア

第81回［2012年3月2日］

【熱い×熱い】川須騎手に注目！

【美浦の『聞き屋』の囁き】

●ジョッキー情報局●

グランドオープンを迎える中京競馬場。改装後初の重賞となる中日新聞杯。このレースを明らかに狙って勝ちにきているのが福永騎手のダノンバラードだろう。もう１人、今までのローカル開催の流れからすれば、滅多にない名前が日曜日だけではなく、土曜日にもあることに気付いただろうか。

それは「東の豊」こと、吉田豊騎手だ。たしかに所属厩舎である大久保洋調教師の管理馬が中京競馬で出走はしているが、なぜメインレースに出走しているわけでもないのに、土・日ともに遠征しているのか。

それは先週、阪急杯に出走して３着だったサンカルロのためらしい。どういうことかというと、サンカルロの春の最大目標は高松宮記念。新装・中京競馬場４週目に行われる最大の目玉レース。当然、普段ローカルで騎乗していない多くのリーディング騎手が高松宮記念には集結することになるはずで、多くの騎手が初中京、また初１２００ｍ芝を当日体験することになるはず。

そこで大久保洋調教師は考えた。「４週目だけではなく、１週目も騎乗していれば経験が大きなアドバンテージになる」と。と、いうわけで吉田豊騎手はサンカルロのヴィクトリーロードを見つける、という課題を持って中京に遠征。今回の経験と高松宮記念への布石は、また中京４週目に。


●熱い×熱い●

高松宮記念の前哨戦、オーシャンＳ。小倉で勝ち星を量産した川須騎手がブルーミンバーで中山に遠征。前走で手綱を取った横山典騎手には先約のダッシャーゴーゴーがいたために、２走前にコンビを組んで勝利を挙げた川須騎手に声がかかったようだ。

ここまでなら良くある話だが、ブルーミンバーを管理する加藤征調教師のすごいところは、「川須を呼んだから」という理由で、土曜日に中山で出走する３頭すべてが川須騎手になっているところ。

ブルーミンバーを除く残りの２頭はともに上位人気が確実な１Ｒダンスオンザルーフ、７Ｒピグマリオン。１Ｒは津村騎手から乗り替わり、７Ｒは横山典騎手からの乗り替わり。この両騎手はもちろん中山で騎乗しているし、また前走がともに納得の３着でミスがあったわけではない。それでも「呼んだ」ということで、乗り替えてしまうあたり、ひと昔前ならともかく、今の状況ではあまりないこと。

積極的な競馬で「熱い」と評されている川須騎手なら、もちろん恩義を感じてなんとかしようとするはず。ローカルだけではなく本場・中山でも目が離せない。


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【関西事情通のちょっとイイ？話】

●障害界を引っ張る騎手になるか!?●

今年が８年目の関西中村将之騎手、まだ通算100勝にも届いておらず決して目立たない存在だが、昨年は障害で８勝を挙げ、関東の五十嵐雄祐９勝、植野貴也８勝（３着の差で植野が２位）に次ぐ障害リーディング３位に食い込んだ。騎乗機会に対する連対率も29.6%と、高田潤の32.6％に次ぐ２位と、障害騎手の中でも第一線を担うジョッキーになってきたと言える。

しかも、可もなく不可もなくの堅い騎乗をする騎手が多い昨今の競馬の中で、彼は勝負っ気のある騎乗をしてくれる。例えば人気のある馬が楽に逃げていた場合、「強い馬を楽に逃げさせて、競馬として面白くないじゃないですか」と早目に掴まえにいく積極派。恐らくファンの視点にも立って「競馬を面白くする」ことも考えているのだろう。

とにかく今、注目したい騎手の一人である。そんな彼が今週土曜日に騎乗するキンショーオトヒメ。初障害だった７月の前々走は落馬競走中止だったが、「道中は勝てると思った」というほどの手応えだったそうだ。落馬の理由も、彼に合わせて使った（障害の場合、番組も少ない関係で騎手に合わせて使う事も多い）ところもあって、そのぶん体力が付いていかなかった事が影響した様だ。

仕切り直しの今回は、シッカリ練習も積んで、しかも平地を1回叩いて息も整えて参戦。「自分のせいで転ばせてしまったし、馬のためにも、厩舎のためにも、そして仕上げてくれたスタッフのためにも頑張りたい」と彼は意気込んでいる。とにかく注目したい馬と人だ。