うまスクエア

第271回［2013年12月7日］　最新号は毎週金・土曜日の20時にメルマガ配信。

この馬も化け物かも!?

【関西事情通のちょっとイイ？話】

●この馬も化け物かも!?●

今週のＧＩは、２歳女王を決める阪神ジュベナイルＦ。「化け物では…」と言われるハープスターがどこまで強いのか。新潟２歳Ｓ２着馬イスラボニータが、出世レースのいちょうＳ、東京スポーツ杯を連勝し、５着マーブルカテドラルも芙蓉Ｓ、アルテミスＳを連勝、この他、出走馬が悉く好走している事で、どんどんハープスターの評価が高くなって来ている。確かに、新潟２歳Ｓのレベルが高く、そのレースを圧勝した事で「化け物では…」と言われるのも良く判る。ただ休み明けな事も確かで、実際「余裕があることは確か」「馬体に冬毛も目立つ」というのも事実で、付け入るスキはありそうだ。

そんな中で、「実はこの馬も化け物かも!?」と言われている馬がいる。今年の２歳世代でＪＲＡ一番星（ＪＲＡで最初に勝った）だったレッドリヴェールだ。

そのデビュー戦、新馬戦にありがちな超スローの競馬を向こう正面は最後方、そしてレースの上がり３Ｆが３３秒５という上がり勝負の競馬を３３秒３の脚を使い差し切り勝ちした。しかも、実は本当は開催４週目を予定していて３週前倒しで下ろしたレースでもあった。このレースだけでも驚きだが、２戦目の札幌２歳Ｓは、ご存知の通り近年マレに見る極悪馬場をまたもグイグイ伸びて差し切り勝ち。小柄な馬で「この馬場はどうなのか？」という懸念、そして「差しが効かない馬場」であった事を考えると、相当強い競馬をしている事になる。そしてなにより、デビュー戦の阪神と前走の函館、全く正反対の馬場をともに完勝、並の馬では出来ない芸当だ。

また、乗り役の起用でも面白い話がある。当初予定していたＣ・ルメールが、急遽香港での騎乗が決まったのが先週の火曜日。そして翌日の朝、このレッドリヴェールの調教に戸崎騎手が騎乗していた。これがどういう事か…

火曜日中に鞍上は戸崎騎手に決まり、戸崎騎手は火曜日の夜には栗東へ移動していた事になる。美浦での調教騎乗の予定はもちろん、そもそも阪神ＪＦの日も中山で多くの騎乗が決まっていたはず。それを、即決して、しかも即翌日に調教に乗りにくるほどの力の入れ様、恐らく札幌２歳Ｓでこの馬の事を良く知っていたのだろう。

ハープスターも化け物かも知れないが、「この馬も化け物かも!?」と言われるのも理解できる気がする。

【美浦の『聞き屋』の囁き】

●１強VS関東勢●

その強さはレースの上がり３F３３秒８を大幅に上回る３２秒５という驚異的な数字でも十分に証明しているが、そこでまとめて差し切ったメンバーがその後軒並み勝ち上がる、もしくは好走するというハイレベルな組み合わせだったことからも２戦２勝という額面以上、ハープスターの存在感は名馬のそれだろう。

新潟２歳Ｓでの借りを返すために真っ向勝負に挑むのが関東の代表格マーブルカテドラル。この馬も器の大きさという点では相当なもの。

なぜなら前走はスタートから終始エキサイトして掛かってしまい、鞍上が強引に引っ張りすぎてしまったために向正面から鞍ずれ。鞍ずれするということは足場が不安定になり落馬の危険、まともに追うことはままならない状況。その状況で外からまとめて差し切った末脚は相当で、通常の状態であればさらに着差を拡げていた可能性は大きい。主戦の田辺騎手も「まだ気性面での課題は多く残っている」と前置きしながらも「それだけ伸びしろがあるし逆転の可能性は十分あるはず」と話してくれた。

他では未勝利、５００万特別と連勝中のマジックタイム。２戦２勝と結果を残した杉原騎手から後藤騎手へスイッチ。杉原騎手は「今の僕の成績では乗り替わりは仕方がない。素質は見劣らないと思うので後藤さんがどう乗るのか、今後の参考にしたい」と悔しさを滲ませていた。

２週間前から栗東入りしているクリスマス。「本当はアルテミスSと今回の阪神JFをセットで武豊騎手に依頼していたが、香港の国際レースで騎乗したいということでキャンセルされました（笑）。ただ、武騎手が次はもっと良くなりそうだし、展開次第では逃げてもいいし、モマれなければ勝負になりますよ、と言ってくれたことは心強いですね。きっちりと仕上げて早熟ではないところを見せたいです」とのこと。

１強の時代になるのか、待ったをかける馬が出てくるのか。来年に向けて注目したい。