近年のクラシックのトレンドは、トライアルを使わずに春ならば暮れのG1、秋なら春のクラシックから本番へ直行するパターン。この
桜花賞(阪神・芝1600m)も21年にソダシとサトノレイナスがワンツーを決めています。
今年はこのパターンで、リバティアイランド、シンリョクカ、ラヴェルの3頭がぶっつけで桜の女王を目指します。
中でも2歳女王となった
リバティアイランドが人気を集めそうな雰囲気となっていますが、それはかなり危険かもしれません。
デビュー戦で古馬を含めたJRA史上最速となる上がり3ハロン31秒4をマーク。2戦目のアルテミスステークスで2着に敗れ、連勝とはならなかったものの、ゴール前の脚色は勝ったラヴェルを凌ぐもの。続く阪神ジュベナイルフィリーズは中団から危なげなく抜け出してのG1制覇で、2歳女王となりました。
とはいえ、死角がないわけでもありません。
敗れたアルテミスステークスは10頭立ての手頃な頭数でありながら、直線で前が壁になってエンジンの掛かりが遅くなり、最後は猛然と追い込んだものの、先に抜け出したラヴェルを捕らえられませんでした。この時の上がりは勝ったラヴェルに次ぐ2位。
阪神ジュベナイルフィリーズは2着のシンリョクカに2馬身半差をつけた快勝も、今度は鞍上が揉まれないポジションを選択。言わば安全策で抜け出しを図りました。それに応えた馬も強かったのですが、上がりはメンバー3位。今後に余力を残したとも言えますが、どちらのレースにも上がいたのです。
迎えた今回の大一番・桜花賞。2枠3番という枠はポジション獲りが大きなカギになりそうで、18頭立ての多頭数を捌けるかの不安がよぎります。
また、管理する中内田充正調教師は今や日本を代表する若き名トレーナーですが、阪神ジュベナイルフィリーズ、朝日杯フューチュリティステークスの2歳G1をそれぞれ2勝ずつ挙げながら、クラシックは未勝利。桜花賞も4度挑戦して最高は2度の4着。
19年にはゴールデンコンビともいわれる川田将雅騎手とのタッグで、1番人気ダノンファンタジーと戴冠に挑みましたが、4着と分厚い壁に跳ね返されました。
派手な勝ちっぷりに目が行くも、内容を紐解いていくと、そこまで突出しているかという疑念は拭えません。アルテミスステークスのような差し届かず…、あるいは包まれて馬群に沈む…、そんなシーンも十分考えられるでしょう。
■中内田充正厩舎の桜花賞成績
20年 6人4着 クラヴァシュドール
20年 4人10着 リアアメリア
19年 1人4着 ダノンファンタジー
17年 13人10着 ヴゼットジョリー