うまスクエア

今週は2歳牝馬の限定G1、阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)。朝日杯フューチュリティSとホープフルSに有力馬が分散する牡馬とは違い、このレースを勝った馬が最優秀2歳牝馬にほぼ自動的に選出される。

また育成技術の発達により、近年は2歳戦しか走らない早熟馬の好走が激減。阪神ジュベナイルFの上位馬がそのまま桜花賞、オークスで中心となる構図に変貌を遂げた。

今回の結果が来春の3歳牝馬クラシック戦線における運命を決定づけると表現しても、決して言い過ぎにはならないだろう。

そんな中にあって新潟2歳Sの勝ち馬アスコリピチェーノがジョッキー選択の過程で、ひと悶着あったのをご存知だろうか？

ことの背景はこうだ。馬主が同じサンデーRで、アルテミスSの勝ち馬チェルヴィニアが11月中旬に阪神ジュベナイルF回避を発表。

騎乗を予定していたルメール騎手の手が空いたことで、「新馬戦1着時に騎乗経験があるアスコリピチェーノに乗るのではないか？」という噂がトレセン内を駆け巡った。

事実、過去にサンデーRの母体であるノーザンFは「外国人騎手ファースト」の方針のもと、同様のケースで不条理な乗り替わりを断行している。

馬主(生産者)の立場としても好走する可能性が高いジョッキーに頼むのは、当然のことだろう。ファンの間では「G1はルメールを買っていれば当たる」とまで言われるほどで、ルメール騎手と北村宏騎手の実績は比べようがない。

トレセン内でも大方の予想は「アスコリピチェーノ＝ルメール」となっていたが、フタを開けてみれば北村宏騎手の継続。ルメールは11/19に赤松賞を制し、中2週での参戦となるステレンボッシュと正式発表された。

北村宏騎手にとって幸運だったのは、第1にチェルヴィニア回避の直後にステレンボッシュが1勝クラスを勝ち上がり、ノーザンFサイドとして“荒業”を行使することなく、ルメールに騎乗馬をあてがえたこと。

第2に阪神ジュベナイルFを回避したチェルヴィニアの症状が軽度で、来春の3歳牝馬クラシック戦線まで見すえると、ルメールはチェルヴィニアに騎乗するのが既定路線。その過程でアスコリピチェーノの鞍上を引っかえとっかえしたくなかった裏事情が垣間見える。

いずれにしても北村宏騎手にとっては、何とかクビの皮1枚つながった状況。今回の結果次第によっては再び乗り替わりが現実味を帯びてくるだけに、渾身騎乗で同馬を勝利へ導いてくれるに違いない。

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