牝馬3冠、その最終関門・
秋華賞(G1・京都芝2000m)。まさに、女傑の座を懸けた戦国絵巻の様相を呈してきた。春の実績馬が夏を越えてどう成長したのか、それとも夏に力をつけた上がり馬が一気に頂点を掴むのか…。
今年のレースの核心は、はっきりと見えている。舞台は京都内回り2000m。紛れの多いトリッキーなコースで求められるのは、絶対的な能力と、それを最大限に活かす鞍上の腕、そして陣営の緻密な戦略だ。さぁ、どの馬がティアラに手を掛けるのか、じっくりと解き明かしていこう。
有力馬分析
◎ カムニャック
本命はこの馬以外に考えられない。前哨戦のローズSで見せたパフォーマンスは、まさに圧巻の一言。夏を越して心身ともに見違えるほどの成長を遂げているはずだ。
一週前の追い切りでは、内に秘めた闘志を感じさせる抜群の動き。友道厩舎の仕上げに一切の抜かりはない。鞍上の川田将雅騎手も、この馬のポテンシャルを大きく評価している事だろう。
父ブラックタイドが伝える豊富なスタミナと、母系のスピード。京都の内回りでも器用に立ち回り、直線で必ずや突き抜けてくると見る。
〇 ケリフレッドアスク
対抗には、もう一つのトライアル・紫苑Sを鮮やかに逃げ切ったケリフレッドアスクを推す。7番人気という低評価を覆したあの粘り腰は、フロックなどでは断じてない。
父ドゥラメンテ譲りのスピードと根性は本物だ。何より、自分の型に持ち込んだ時の強さは計り知れない。今回もハナを主張するのはこの馬だろう。マークは厳しくなるだろうが、鞍上の西塚騎手も度胸は据わっている。
平坦な京都コースなら、中山で見せた以上の粘りを発揮しても何ら不思議はない。展開の鍵を握るこの馬が、波乱の主役となる可能性は十分にある。
▲ ジョスラン
紫苑Sでケリフレッドアスクに肉薄したジョスランが単穴評価。後方から鋭く追い込んだ末脚は、世代屈指のものがある。父エピファネイア産駒らしく、長く良い脚を使えるのが最大の武器。
自在性のあるタイプで、どんな展開にも対応できる強みがある。前走は勝ち馬を捕らえきれなかったが、一度叩かれた上積みは大きいはず。鞍上の岩田望来騎手も、この馬の能力を信じているはず。ゴール前、強襲するこの馬の姿が目に浮かぶ。
△ ダノンフェアレディ
キズナ産駒のダノンフェアレディを押さえる。紫苑Sでは先行策から3着に粘り、重賞でもやれる能力は示した。派手さはないが、レースセンスが非常に高く、大崩れしない安定感が魅力だ。
今の京都の馬場もこの馬に向くだろう。坂井瑠星騎手とのコンビも板についており、上位陣が牽制しあう展開になれば、しぶとく流れ込んでくるはずだ。
穴馬の指摘
☆ セナスタイル
面白いのはこの馬だ。ローズSで10番人気ながら3着に食い込んだ末脚は、本物と見るべきだろう。父は凱旋門賞馬ソットサス、母はオークス馬ヌーヴォレコルトという超良血。
血統背景だけ見れば、G1でも全くヒケは取らない。追い込み脚質ゆえに展開の助けは必要だが、もしペースが流れ、前が崩れるようなら、この馬の出番だ。
「上がり最速」という言葉は、競馬における最大の武器の一つ。ベテラン岩田康誠騎手の大胆な手綱さばきで、大金星を掴む資格は十分にある。
展開予想
レースの先導するのは、紫苑Sを制したケリフレッドアスクだろう。あとは、エリカエクスプレスがどう出るか、テレサも行くかもしれない。平均かややスローなペースで流れそうだ。
好位にはダノンフェアレディやインヴォーグがつける。本命のカムニャックは中団で虎視眈々と前を睨み、ジョスランもその直後で脚を溜める形か。京都の内回り2000mは、4コーナーから直線にかけてゴチャつきやすい。
いかにスムーズに外へ持ち出し、末脚を爆発させられるかが勝負の分かれ目。後方待機のセナスタイルは、3コーナーからのロングスパートが嵌まるかどうかが鍵となる。
結論
今年の秋華賞は、ローズSを圧巻のパフォーマンスで制したカムニャックの充実ぶりに賭けたい。夏を越した成長力、鞍上の信頼、そして血統背景。女王の座に最も近いのはこの馬だ。
相手は展開利が見込めるケリフレッドアスク、末脚鋭いジョスラン。大穴で良血馬セナスタイルの一発に期待する。
馬券は◎ - 〇▲△☆の馬連4点で臨みたい。