元教官・蓑田早人の蓑田塾
海外遠征を前に大暴れ!
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こんばんは。蓑田です。
今週、8月24日から10月6日までフランスに遠征することが発表された
坂井瑠星騎手。
札幌記念のステイフーリッシュに騎乗した後でフランスに向かい、凱旋門賞に出走するディープボンドの帯同馬として遠征する矢作厩舎のエントシャイデンで現地の重賞に挑戦するそうだ。
海外遠征に積極的な矢作厩舎に所属していることもあって海外遠征の経験は多い坂井瑠星騎手だが、今回は秋競馬の大事な時期に1カ月半ほど日本で騎乗しないということになる。それに見合うだけの経験を持ち帰ってもらいたい。
日本における騎手の技術というのは、やっぱり海外の進んだ技術を取り入れて進歩してきた面がある。私も競馬学校の生徒たちには「海外に行けるチャンスがあるなら、迷わず行った方がいい」とか「日本に来る外国人騎手から学んでほしい」といったことは伝えてきたんだ。
それこそ、私が現役だった時代とは違って、今はコロナの影響で例外としても、毎年のように世界的な一流騎手が日本に来て騎乗するようになったし、ルメール、デムーロという大事なお手本がいるようになったからな。
海外の騎手というと、一つ昔の思い出がある。私が20代の前半だったから、およそ50年くらい前の話なのだが、ベネツィアというアメリカの騎手が日本競馬に乗りに来たんだ。
その当時は短期免許なんてルールもなかったので、一体誰がどう動いて実現したのかは分からないが、3カ月くらい東京や中京といった、アメリカと同じ左回りの競馬場だけを選んで騎乗していたよ。
そのベネツィアと一番仲が良かった…というのとはちょっと違うが、一番関わりが多かったのは私だったと思う。レースの後は日本語と英語で騎乗について言い合いをしたり、調教で併せ馬をしたこともあったな。調教の時は、厩舎や馬に申し訳ないと思いつつ、自分の乗っている馬の調教はそっちのけでベネツィアの騎乗技術を盗もうと躍起になっていたな。
その当時はアメリカの騎手の方が技術面についてはよっぽど進んでいたからな。ムチの持ち替えや叩き方なんていうのは、この時にベネツィアから学んだことが競馬学校の教官になってからもずっと活きていた。
それで、ベネツィアがアメリカに帰る時になって、実は「一緒にアメリカで乗らないか?」と誘われたんだ。当時の自分には全く想像も出来ない話だったので断ったんだが、ずっと後、40代くらいになってから、あの時一緒にアメリカに行って、数カ月だけでも向こうの競馬を経験していたら、また違った騎手人生になったかもしれないな…なんて、少し後悔もするようなったよ。
しばらく私の話になってしまったが、だから若い騎手には積極的に海外で経験を積んでもらいたいと思っている。短期免許だって、今はどうか知らないが、最初は“海外の優れた騎手を招いて日本競馬の教育、技術向上を図る”って目的があったものだ。
坂井瑠星は
札幌記念では師匠の矢作厩舎の
ステイフーリッシュに騎乗。G1以外ではほぼ崩れ知らずの馬で、矢作調教師が遠征前に良い馬を用意してくれたんじゃないかと思う。2~3着なら十分ありそうだ。
その他、日曜日は札幌で合計9鞍。やはり矢作厩舎がフランス遠征前にと用意してくれた馬が良いだろうな。2Rのランペロニキ、5Rのベルマレット、9Rのキングエルメス、そしてステイフーリッシュの4頭が矢作厩舎の馬だが、配当も含めて面白そうなのが
5R新馬戦の
ベルマレット。
最終追い切りはステイフーリッシュ、キングエルメスとの3頭併せ。ステイフーリッシュにはさすがに敵わなかったが、時計は合格点だし1勝馬のキングエルメスよりも動けていた。
外国産馬で洋芝も合いそうな印象を受けるし、仕上がりの早い牝馬なので新馬勝ちの可能性は十分にあるんじゃないかな。
日曜の騎乗一覧と評価
レース | 条件 | 馬名 | 評価 |
札幌1R | 芝1500m | イエヴァンポルッカ | B |
札幌2R | ダ1000m | ランペロニキ | B |
札幌4R | 芝2600m | プリエール | C |
札幌5R | 芝1800m | ベルマレット | A |
札幌7R | ダ1700m | モンキャドー | B |
札幌9R | 芝1500m | キングエルメス | A |
札幌10R | ダ1700m | サヴァビアン | B |
札幌11R | 芝2000m | ステイフーリッシュ | A |
札幌12R | 芝1200m | ザイラ | C |
今週は夏競馬で一番大きいレースの札幌記念が行われる。白毛の桜花賞馬ソダシ、今年に入って復活を果たし香港のG1を勝ったラヴズオンリーユーがいて、その他のメンバーもなかなか賑やか。例年以上の盛り上がりになっているんじゃないかな。
このレース、私の立場として、普通の競馬ファンとは少し違う視点から注目していることがある。注目馬がソダシとラヴズオンリーユーというのは皆と変わらないが、この2頭に騎乗する吉田隼人騎手と川田将雅騎手はどちらも競馬学校の20期生。私が教えた二世代目の生徒なんだ。
以前にも少し話したことがあると思うが、20期生は川田、吉田隼人の他にも藤岡佑介、津村、丹内らがいて、私が教えた世代の中では一番レベルが高く、ちゃんとした実績も残している。
今回はラヴズオンリーユーに川田が騎乗することで、20期生の中でも勢いのある二人が人気を分け合う2頭で対決するということになるんだ。
川田は吉田隼人のことなんて意識していないと思うが、吉田隼人の方は先に活躍していた川田に対して、ずっと対抗心を燃やしていた。今回はソダシとのレースであることも含めて、相当に気合が入っているんじゃないかな。
そして、ウインキートスには丹内、ユーキャンスマイルには藤岡佑介が騎乗するので、今年の札幌記念は20期生が4人も騎乗している。
ソダシとラヴズオンリーユーのワンツーは人気通りとして、私はウインキートスも頑張って、20期生のワンツースリーという結果まであるんじゃないかと密かに期待しているんだ。
あくまでもこれは応援の意味合い。どうしても世間的な注目度の高いレースだと教え子かわいさが出てしまうんだよな。とはいえ、30代の半ばに差し掛かり、これからは競馬界を引っ張っていく立場になる20期生。こういうレースで良い馬に乗っている時は、しっかりファンや関係者の期待に応える競馬をしてもらいたいね。
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