元教官・蓑田早人の蓑田塾
重賞連勝の裏にあった気持ちの余裕
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こんばんは。蓑田です。
先週は毎日王冠をサリオスで、京都大賞典をヴェラアズールで制した
松山弘平騎手。
毎日王冠のサリオスは見ているファンはハラハラの勝利だったと思うけど、開催が終わった後に松山に電話をして、重賞連勝のお祝いを言いつつレースのことを聞いてみたんだ。
そしたら、松山は「手応えがあったので余裕があったし、全く焦りはありませんでした」と言うんだ。
確かに、脚色が周りの馬と明らかに違っていると、思い通りに馬を導けるので見た目以上に楽に抜けてこられることが多い。あのレースは少し待たされたことで却って脚が溜まった面もあっただろうからね。
そして、京都大賞典のヴェラアズールについては「毎日王冠でああいう勝ち方ができたので、ヴェラアズールも馬の力を信じてジックリ乗ることができました」と言っていたよ。
サリオスの勝利で掴んだ手応えで、ヴェラアズールの末脚も完璧に引き出した松山。本当に色々な面で成長しているね。
今週の秋華賞は抽選を突破したストーリアに騎乗。これはちょっと力が足りないという印象だが、来週の菊花賞では人気の中心になるであろうガイアフォースに騎乗する。
ストーリアとガイアフォースはどちらも杉山晴紀厩舎の管理馬。松山と杉山晴紀厩舎といえばデアリングタクトが有名だけど、この杉山晴紀厩舎というのは私も昔から“教え子に多くのチャンスをくれている厩舎”として気になっていた。調教師本人と話したことはあまりないんだけどね。
例えば、ミスニューヨークは加藤祥太をずっと乗せてくれていたし、アールスターは長岡禎仁に重賞初勝利をもたらしてくれた。アリーヴォの小倉大賞典は横山和生、ベレヌスの中京記念は西村淳也、神戸新聞杯のジャスティンパレスは鮫島克駿だ。
重賞馬以外を見ていても、「この馬にはこの騎手で」といった形で、馬ごとに異なる若手騎手を主戦として据えてくれている印象がある。カワキタアジンは泉谷楓真、テイエムマグマは高倉稜、といった具合だ。
この騎手起用を見ていると、どうも松山らの25期生、それより下の世代の若手騎手を起用することにこだわっているような気もするんだ。私の教え子の中でも、松山より少し上の浜中、藤岡康太、北村友一辺りを乗せているところはあまり見ないからね。
杉山晴紀調教師は競馬学校の厩務員過程に騎手過程の23期生と一緒に入っている。その辺りも含めて自分より後輩の騎手にこだわっているのかもしれないね。何にせよ、私の立場からすると本当にありがたい厩舎だよ。
こういう話をしたので日曜に秋華賞以外で松山×杉山晴紀のコンビがあればちょうど良かったが、それは無いようだ。
松山の日曜の有力馬としては秋華賞後、最終レースの
ゴールドハイアー。チュウワウィザードの大久保龍志厩舎のダート馬だ。
杉山晴紀厩舎は東京に2頭を使っているが、アイリッシュセンスはG1裏で今まで乗っていた松山、ミルコが乗れず、今回は菅原明良が初騎乗。やはり、若手優先、若手にチャンスをというのが厩舎のテーマなのではないだろうか。
日曜の騎乗一覧と評価
レース | 条件 | 馬名 | 評価 |
阪神1R | ダ1200m | レゾルシオン | A |
阪神3R | 芝1600m | エスペランサフラグ | A |
阪神4R | ダ1400m | ミラクルティアラ | A |
阪神5R | 芝2000m | ワレハウミノコ | A |
阪神6R | ダ1400m | ディスケガウデーレ | B |
阪神7R | 芝2400m | コントゥラット | B |
阪神8R | ダ1800m | サンライズグリット | B |
阪神11R | 芝2000m | ストーリア | B |
阪神12R | ダ1800m | ゴールドハイアー | A |
今週は秋華賞。人気は4枠、5枠に入った4頭に集中する形になっていて、私も勝ち馬に関してはこの4頭の中から出るんじゃないかと思っている。
中でも一番勝つ確率が高いのはスターズオンアースだと思うね。春から高く評価し続けていた1頭だし、3冠達成を期待しているよ。
ただ、他の3頭、ナミュール、スタニングローズ、アートハウスもほとんど能力的な差はないんじゃないかな。強いて言えばアートハウスはオークスの時にも敢えて評価を下げた馬なので、まだ僅かに見劣るという感じはするけどね。
ナミュールは横山武史騎手が騎乗。つい先日も取り上げたが、今年は勝ち星や勝率が大きく伸びているのに対して、重賞やG1での見せ場が少ない。ナミュールも桜花賞では1番人気10着と厳しい結果を味わったパートナーだけに、3冠最後の秋華賞は気合が入っているだろう。
スタニングローズに騎乗する坂井瑠星騎手も勝てばJRAのG1は初勝利になる。紫苑Sを自ら勝たせて掴んだG1騎乗なので頑張ってもらいたい。
あとは、松岡正海騎手が騎乗するウインエクレールも穴馬として気になっている。これくらいの立場の馬でもG1では常に自信を持って乗る騎手だからね。
ここまでに挙げた5頭のうち、ルメール騎手が乗るスターズオンアース以外の4頭は私の教え子が騎乗する。ここで教え子ワンツースリーとなったら最高だが、その時はスターズオンアースの3冠が叶わないということなので、ちょっと複雑だね。
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