元教官・蓑田早人の蓑田塾
上手さがよく分かるレースになりそう
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こんばんは。蓑田です。
今週から小倉開催が再開し、日曜日は
小倉記念が行われる。このレースで注目しているのが3歳馬
ピースオブエイトと、それに騎乗する
松本大輝騎手。
松本は今回が重賞初騎乗。聞いたところによると元々ヒンドゥタイムズに乗る予定だったのが、ピースオブエイトに乗る予定だったホー騎手が53キロでは乗れないということで両者の騎乗馬を入れ替える形になったそうだね。
その経緯はともかく、初めての重賞騎乗が上位人気の一角になるような馬というのは大きなチャンスだろう。つい先日、今村聖奈騎手が重賞初騎乗初勝利を成し遂げたばかりだが、松本も十分にその可能性はあると思っている。
1年目が18勝、2年目はここまで26勝と順調に成績を伸ばしているが、私の個人的な評価では、純粋な馬乗りの上手さという意味では、松本は若手どころかJRAの現役騎手全体の中でもベスト10に入る上手さだと思っている。
特に上手いのが折り合いの付け方で、馬と喧嘩しているところをほとんど見たことがない。正確な数字を調べた訳ではないが、きっと減量騎手としては珍しく中距離のレースの方が成績が出ているんじゃないかと思うよ。
去年の秋に取り上げた時には「まだ騎乗している時に体の大きさが目立つので、武豊のような乗り方を目指してもらいたい」という話をしたが、その点もずいぶん良くなってきたよ。
こういった技術は厩舎関係者にも認められているはずだし、今後も良い馬に乗る機会はしっかり増えていくだろう。それこそ小倉記念でピースオブエイトを好走させれば一気に大きなアピールになるだろうね。
重賞以外では
3Rの
ドンシャーク。取消明けなので馬自身のデキは少々気になるが、ダート1700mでテン乗り。松本の上手さがよく分かるレースになりそうだよ。
もう一人、今週は新人の
角田大河騎手にも少し注目してもらいたい。
3月、4月は今村より目立っていてこちらがスーパールーキーのような扱いだったが、7月9日から1か月勝ち星がなく、騎乗ぶりも半端にレースに慣れてしまったせいで考え過ぎているようなところがあった。
それで先日大河に電話をして、いくつかアドバイスをしたんだよ。それでそろそろ効果が出てくるんじゃないかと思って見ていたら、土曜日に1か月ぶりの勝利を挙げてくれた。日曜日もどこかで出番があるんじゃないかな。
日曜の騎乗一覧と評価
レース | 条件 | 馬名 | 評価 |
小倉3R | ダ1700m | ドンシャーク | A |
小倉4R | 芝1200m | タマモサウルス | B |
小倉7R | 芝2000m | ラストアプローズ | C |
小倉8R | ダ1000m | ナツイロノオトメ | B |
小倉11R | 芝2000m | ピースオブエイト | A |
小倉12R | ダ1700m | バライロノキセキ | B |
先週の重賞はレパードSを香港から来日していたホー騎手が勝利し、エルムSは丹内騎手が人気薄のフルデプスリーダーで勝利した。
勝った二人はどちらも自分の持ち味を発揮していたが、その反面、ちょっと残念な結果になってしまったのがエルムSのブラッティーキッドと水口優也騎手だろう。
レース中盤までは文句なしの立ち回りに見えたが、4コーナーで付いて行けなくなってしまい、実況でも「ブラッティーキッドは後退」と言われてしまっていた。
私もその時点では重賞ではまだ力が足りなかったのかと思ったが、一度は勝負から脱落したように見えたのに、直線半ばから盛り返してきて最終的には僅差の4着となった。
あの感じだと脚は最後まで残っていたというか、ゴール前の脚色からすると脚を余したと言ってもいい。となると、厳しいようだが水口の乗り方に疑問を感じてしまうね。
元々勝負どころでズブさを見せる馬で、レース後のコメントでもその点を敗因に挙げていたようだが、今までずっと乗ってきてその個性も分かっているなら、なぜ大事な重賞で勝ちに行くための工夫ができなかったのか。
あの騎乗は中途半端だったというか、馬に対して騎手側のしたいことがハッキリ伝わっていなかったような印象を受けた。競馬ファンが思っているより馬というのは鞍上の指示や、時には迷いにも敏感なもの。
水口自身もエルムSの4コーナーと最終的な負け方に関しては悔やんでいるはずだが、あそこは鞍上がハッキリできなかったせいで、ブレーキとアクセルを両方踏みながら走るような形になってしまったね。
なかなか重賞に乗ることも、今回のような有力馬で臨む機会も多くはない立場なので、やはり悔いの多い結果になってしまったというところだろう。今回の騎乗で感じたことを、もしあれば次のチャンスで活かしてもらいたい。
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