元競馬学校教官・蓑田早人の蓑田塾

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飛躍のキッカケを掴んで来年は更に!

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今年最も“飛躍した”騎手といえば、やはり佐々木大輔騎手だろう。

1年目は9勝だったのが、今年は先週までで68勝。

最初から上手かったが、成績が伸びるとともに乗り方が変わってきた。今は私が見ても好きだと思う追い方になってきているね。

来年はやはり重賞やG1で活躍できるようになることが目標になるだろう。そのためには上を目指せるような馬に出会えるかどうか。それが叶えば横山武史騎手のような成長曲線を描けるんじゃないかと期待しているよ。

ちなみに、武史は13勝→35勝→54勝→94勝という成績で、大きく伸びたのは4年目。4年目の4月にウインマリリンのフローラSで重賞初勝利を果たし、その年の夏にエフフォーリアと巡り会っている。そして5年目にG1勝利と年間100勝を達成した。

同じように、佐々木も重賞を勝てる馬、G1を意識できる馬を任せてもらえれば、さらに騎手として成長できるはずだ。それが来年だとしたら、武史より1年早く一流の仲間入りをすることになるね。

日曜日は中山で5鞍。有馬記念はまだ見学だが、前後の特別戦に乗っているのは評価されている証だろう。勝ち負けになりそうなのは3Rのゴールデンスイープ

前走はスタートから終始他馬に邪魔されて可哀想な競馬だったが、反省を活かして乗ってくるだろう。

もう一人、女性騎手だと来年期待しているのが小林美駒騎手。成績的には永島まなみ騎手の年だったが、最近少し粗さが出てきたように映る。しっかり上手く乗れていて、来年伸びそうなのは小林美駒騎手の方かなと思っている。今週の休みは残念だけどね。

日曜の騎乗一覧と評価

レース条件馬名評価
中山2Rダ1800mレアグリフォンB
中山3R芝1200mゴールデンスイープA
中山5Rダ1200mサナダB
中山10R芝1600mグラニットB
中山12Rダ1200mテイエムランウェイB


今週はいよいよ有馬記念だね。イクイノックスとリバティアイランドは出走しないが、それ以外の有力馬は多くが参戦し、最後に混戦ムードの面白いレースになった。

木曜日には恒例の枠順抽選会も行われていたね。皆の一喜一憂ぶりは、中継されているから大袈裟にリアクションしている感じもするんだけどね。

個人的には、ファンが思うほど、というか世間が煽るほどには、有馬記念の枠順に大きな有利不利はないと思っているんだよ。スタートから出して行きたい先行馬には大事なので、タイトルホルダーは良いところが当たったかなと思う程度だね。

かなりの混戦で当日の直前まで人気順が分からないくらいだが、私はジャスティンパレス、スターズオンアース、タスティエーラ、スルーセブンシーズの4頭が最上位評価。

その次がソールオリエンス、そしてドウデュースという順番かな。ここまでの6頭だけで決着する可能性は十分にあると思っている。

仮に、それ以外で勝ち切る可能性まであるとしたらシャフリヤール。香港回避の状態面や、この条件が良い方に出れば、という注文は付くけど、能力は高いダービー馬だからね。ハーパーはいかにも2~3着なら、という相手候補。

タイトルホルダーは引退レースだが、ちょっと難しいかなと考えている。気になるのは状態面や力関係というより、アイアンバローズが出てきたこと。向こうは離して逃げようとする可能性もあるし、タイトルホルダーにとって理想の展開とはならないんじゃないかな。

もう一つ、先週の朝日杯FSについてもシュトラウスのレースぶりに注目と話した手前、振り返っておかないといけないかな。

あれは、怒って当然だね。あんな競馬はあり得ないよ。よく関係者、特にノーザンが今週もマーカンド騎手を良い馬に乗せるよね、と思うくらいの競馬だった。

乗り始めのアンちゃんじゃないかと思うくらいの競馬。出遅れたのなら、そこでジッとするなり切り替えないといけないのに、焦って巻き返そうとしてあんな行ってしまうんじゃね。

ポジションを取り返すにしても、ペースが落ち着いてからだろう。まだ速いのにあんな動き方をしては、自分の脚が残るはずもないし、なんなら武史のセットアップにもいい迷惑だよ。

難しい馬でも抑えられる、展開やペースを見極めて力を発揮させてくれる、そう期待して関係者はマーカンドに任せた訳だし、ファンもそう思って馬券を買っているはず。それなのに、あんな投げっぱなしの競馬ではね。何とかしようという気持ちが感じられなかったというか、どうしたらあれで勝てると思ったんだろうね。

実は週明けにとある現役の騎手と話す機会があったんだけど、シュトラウスの話になって「ああいう競馬をした馬は、その次には絶対乗りたくないですね」と言っていたよ。

ああいう負け方は、レースを一つ落としただけでなく、その後にも悪い影響が出てしまう。シュトラウスも能力は絶対にあるんだが、果たして来年はどうやって立て直していくのか厩舎もオーナーも悩ましいだろうね。


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蓑田早人・プロフィール

卓越した騎乗技術を武器に、騎手として北海道などローカル開催を中心に活躍。引退するまで、日本騎手クラブ副会長を務めるなど騎手の地位向上にも尽力。その後、競馬学校の専任教官へ就任(石橋脩騎手ら第19期生より指導を担当)。川田将雅騎手、松山弘平騎手をはじめ、吉田隼人騎手、三浦皇成騎手、藤田菜七子騎手など教え子が多くいる。

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