元教官・蓑田早人の蓑田塾
見習い時代の繋がりが今に至る
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こんばんは。蓑田です。
日曜日の札幌で行われる重賞キーンランドCはメイケイエールに注目している。
気性的に難しい馬を武英智厩舎がどう立て直してきたか。ああいう馬は距離を短くしただけで急に折り合うとは思えないので、桜花賞の後で休ませる決断をしたこと、武豊騎手に手綱が戻ることの効果に期待したい。
武英智は直接の教え子ではないが、33期生の教え子、
富田暁に関して恩がある。
富田は木原一良厩舎に行くことになっていたが、当時木原厩舎で調教助手をやっていたのが武英智だった。それで、技術面についてはお前が教えてやってくれと、富田のことを武英智に託したんだ。
富田は乗馬未経験で、しかも他の33期生より1年遅れで合格したので、技術的には心配なところがあった。見習いとして厩舎に行くようになった時に武英智がいてくれたことは本当に良かったと今でも思っている。
富田が今も武英智厩舎の馬に多く乗っているのは、その時の繋がりがあるからなんだろう。日曜日は小倉で8鞍に乗っているが、そのうち6Rのエールゴージューン、8Rのヒロシゲペッパー、12Rのジューンベロシティが武英智厩舎の馬だ。
この中で勝ち負けになりそうなのは
6Rの新馬
エールゴージューンだろう。乗り込みは十分で、先週、今週は富田が追い切りに乗っている。いかにも芝の短距離が合いそうな馬で、減量も効きそうだ。
日曜の騎乗一覧と評価
レース | 条件 | 馬名 | 評価 |
小倉2R | 芝2600m | ウインガヴァナー | B |
小倉3R | 芝2000m | エニシノウタ | A |
小倉5R | 芝2000m | ティグル | B |
小倉6R | 芝1200m | エールゴージューン | A |
小倉7R | 芝1800m | ヴィンランド | C |
小倉8R | ダ1000m | ヒロシゲペッパー | B |
小倉9R | 芝2000m | サマーカナロア | B |
小倉12R | 芝1200m | ジューンベロシティ | B |
先週に続いて昔話になるが、私は騎手時代、森末之助厩舎に所属していた。美浦トレセンができる前、それぞれの調教師が競馬場などに厩舎を持っていた時代は騎手もどこかの厩舎に所属するのが普通だった。
今は根本康広厩舎に丸山元気、野中悠太郎、藤田菜七子と3人の騎手が所属しているのが珍しいと言われているが、根本調教師も騎手出身。兄弟子、弟弟子が助け合うことのメリットを感じているから積極的に騎手を受け入れてくれたんだと思う。
私が所属した森厩舎には他にも多くの騎手がいてね。私と同じ競馬学校の教官を務めた徳吉さん(1958年騎手デビュー)は森厩舎生え抜きで一番上の兄弟子だったが、その次に常さん(小林常泰騎手・1963年騎手デビュー)がいて、私はその次(1969年騎手デビュー)だった。
その後に小宮敬三(1976年騎手デビュー)がやはり森厩舎で騎手になって、それからはしばらく4人の騎手が森厩舎にいるという形が続いたんだ。
私と年が近いくらいの競馬ファンなら覚えているかもしれないが、ヤマブキオーという馬は徳吉さん、常さん、私、小宮が4人とも乗って、4人全員が勝たせているという珍しい記録を持っている馬。私が勝たせた中では、ハイセイコーとタケホープをまとめて倒して圧勝した東京のレースが特に良い思い出として残っているよ。
そして、私が森厩舎に見習いとして入って騎手としてデビューする辺りまで、森厩舎には森安弘昭という騎手もいたんだ。
森安さんは尾形藤吉厩舎から移籍してきた人なので兄弟弟子という感じではなかったが、年齢やキャリア、実績、そして騎乗技術に関してはどれも徳吉さんや常さん以上。体が大きくて体重を落とせず、ほとんど特別戦以上のレースしか乗れなかったけど、大きなレースをいくつも勝っていた。
徳吉さんとは半世紀以上の付き合いの中で多くのことを教えてもらったけど、実は、騎手としての技術や乗り方の基礎は森安さんに教えてもらったことが一番だった。徳吉さん、そして私が競馬学校の教官になった訳だから、森安さんの技術が今の日本の騎手たちに受け継がれている…ということになるのかもしれないな。
ちょっと昔のことを思い出してみたけど、いくらでも話すことはありそうだ。本当は、もっと騎乗技術の話とか教え子の話をした方がいいのかな(笑)。ここで解説して欲しいことや質問があれば、是非メールなどで送って下さい。
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