重賞戦略アドバイザー・平井雄二のBe The Winner
【特別版】先週も9番人気で激走!「引退調教師」の管理馬が激アツの理由
元調教師の平井雄二です。今回は普段と趣向を変えて、「引退調教師」の話をさせて下さい。
今週末の競馬を最後に飯田雄、加用、小桧山、高橋裕、中野栄、松永昌、安田隆と7名の調教師が70歳定年を迎えます。
錚々(そうそう)たる顔ぶれもさることながら、愛知杯を安田隆厩舎の管理馬ミッキーゴージャスが勝利。翌日の日経新春杯を今度は中野栄厩舎のブローザホーンが制覇。先週の阪急杯でも安田隆厩舎のサンライズロナウドが9番人気で3着と、例年にも増して引退調教師の活躍が目立ちますね。
7名の引退調教師でも特に「中野栄治厩舎」の成績が際立っていて、年明けから先週時点で[5-10-5-37]複勝率35.1%。中野栄厩舎は年間でも12~15勝の中堅厩舎ですから、引退直前に後先を考えない大攻勢をかけているのは間違いないでしょう。
大手牧場が経営するクラブ馬主の発言権が増した近年は少なくなりましたが、私が調教師をしていた2010年頃までは、定年直前に管理馬へ勝負仕上げを施すことが当たり前。かくいう私も例に漏れず、厩舎解散前は主に条件戦で穴馬券に貢献しました。
いまになって振り返ればファンの立場からすると、いずれも直近の成績から狙いづらい馬だったでしょう。先日の京都牝馬Sで3着に激走した中野栄厩舎のコムストックロード(16人気)のように、穴をあける場合は大半が普通に予想していてはまず買えない人気薄です。
基本的に競走馬は100%のデキまで仕上げきってしまうと、立て直すのに長い時間を要します。馬によっては二度とピークの状態に戻らないこともあります。
そのため個人馬主が中心で預託頭数に限りのある中堅下位の厩舎では、意図的に仕上げず息長く活躍させることも珍しくありません。文字どおり“無事これ名馬”というやつです。
しかし、規定により定年せざるを得ないとなると、話は変わってきます。何故なら親族や弟子など一部のケースを除き、新規開業の厩舎は縁もゆかりもない場合が大半ですからね。少々言葉は悪いですが彼らに“お釣り”を残しておいても、引退調教師に何ら見返りはありません。
余談として近年は馬主サイドが愛馬に厩舎解散前の無理使いを避けるため、事前に釘を刺すことがあります。例えば先ほど紹介した中野栄厩舎のブローザホーンも、その気になれば日経新春杯(G2、京都芝2400m)と条件が近い京都記念(G2、京都芝2200m)に使えたはずです。
それを状態面に問題が無かったのに参戦しなかったのは、同馬のオーナーは大手牧場のクラブ馬主ですから、何らかのストップがかかったのではないでしょうか。仮に使ってくれば相当な確率で好走できたと思いますし、中野栄師の立場からすると複雑かもしれませんね。
残念ながら今週日曜の弥生賞に引退調教師の管理馬は参戦しませんが、同日の中山4Rに出走する中野栄厩舎のガビーズシスターなど、条件戦に好勝負が期待できそうな馬が揃っています。
また土曜中山のオーシャンSには中野栄厩舎のカイザーメランジェ、安田隆厩舎のジュビリーヘッドが使って来ました。
特にジュビリーヘッドは中山芝1200mで実績があり、昨年の同レースでは1番人気に支持された実力馬。調教師の引退週で得意コースに替わり一変があっても驚けません。
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