うまスクエア

重賞戦略アドバイザー・平井雄二のBe The Winner

好走率87.5％ 特殊なコース形状で押さえておきたい2頭！

先週、直線の長いコースだからこそ前残りに警戒するようお伝えした関屋記念(G3)では、逃げたシュリと2番手ウインカーネリアンの“行った行った”の決着となりました。今週もコース形態をテーマにしようと思います。

札幌記念の金言
小回りは小回りでも特殊な形状に注意

今年の札幌記念(G2、札幌芝2000m)にも超豪華と言えるメンバーが揃いました。先行タイプ、差しタイプのそれぞれに有力馬がいるため、片時も目が離せない攻防が繰り広げられるでしょう。

舞台となる札幌競馬場の芝コースは1周1640mで、函館(1626m)、小倉(1615m)、福島(1600m)と、ローカル小回りコースと呼ばれる競馬場の中でも大きい方。しかし、それにもかかわらずホームストレッチ・バックストレッチの長さは最も短いため「全体が円に近い形」と表現されています。

このことがレースにどう影響するのか分かりやすいのが、札幌記念の上がり3ハロンの上位成績です。(過去5年)

上がり3ハロン成績(過去5年)
上がり1位【2-3-2-1】複勝率87.5％
上がり2位【1-1-1-3】複勝率50.0％
上がり3位【0-0-0-2】複勝率0.0％

レース後半、残り600mで最速の脚を使った馬が毎年1頭以上は人気を問わず馬券圏内に来ています。

上がり最速の好走馬
21年2着ラヴズオンリーユー(1人気)
20年1着ノームコア(2人気)
20年2着ペルシアンナイト(6人気)
19年1着ブラストワンピース(3人気)
19年3着フィエールマン(1人気)
18年3着モズカッチャン(4人気)
17年2着ナリタハリケーン(12人気)

“円に近い形のコース形態”がどのように関係しているかというと…。

コーナーが緩やかだとスピードを落とすことなく追い上げることができます。外に膨れることなく、ブレーキを踏むことなく、勢いそのままに直線勝負に入れます。他のローカルコースと比べても後ろにいることがマイナスになりません。

直線が短い小回りコースの性質から、逃げ・先行馬は早め早めに動こうとする意識が生まれます。後続もプレッシャーを掛けてきますからね。引き締まったペースで前が苦しくなれば、差し馬にとっては「しめしめ」という展開です。

今年はパンサラッサ、ジャックドール、ソダシなど明確な逃げ・先行馬が複数いるため、おあつらえ向きの展開になりそうで、ここで紹介した傾向が継続しても不思議ではありません。

それでは2頭をレビューしていきます。

※8月19日(金)時点のレビューとなります。

1頭目 ユーバーレーベン
昨年のオークスを勝利して以降は馬券圏内から遠ざかっていますが、秋華賞は脚部不安明けのブッツケ、ジャパンCは直線でカットされて進路を切り替える、京都記念は3コーナー手前で被されて動かざるを得なかった、など敗因は明確。

馬の個性から「スムーズに走ることができれば」という条件はつくものの、世界最高峰のメンバーが揃ったドバイSCでは大外から鋭く脚を伸ばして5着と確かな能力を見せました。

洋芝、札幌コースは札幌2歳Sで経験済み。ソダシのクビ差2着でしたね。7枠なら好きなポジションで揉まれずに自分のリズムで走ることができるでしょう。秋に向けてキッカケを作れるか大事な一戦。デムーロ騎手も力が入るでしょう。

2頭目 グローリーヴェイズ
香港ヴァーズを2勝、クイーンエリザベス2世Cで2着、19年には天皇賞春で2着と実績は堂々のトップクラス。北海道は初参戦ですが、洋芝適性は香港で証明済みです。スピードもスタミナも十分。

脚質も先行、差し、マクりと様々なパターンを持っていて自在性は抜群。ペース読みに長けているルメール騎手とはいかにも手が合いそうなタイプですね。7歳ですが、間隔を空けながら大事に使われているのでまだまだ若いです。

枠の並びですぐ近くの内にパンサラッサとジャックドールがいるのは立ち回りやすそうです。後半に末脚を生かす競馬が合っているのは確かですから、あとは馬群を割ってくるのか、外を回してくるのか、トップ騎手の手綱捌きにも注目です。