馬券ネオメソッド(レース回顧編)
オークス&平安Sの回顧
第80回オークス(GⅠ)
1着
ラヴズオンリーユー
2着
カレンブーケドール
3着
クロノジェネシス
ラップ:
12.5-10.9-11.7-11.9-12.1-12.2-12.3-12.2-11.7-11.4-11.6-12.3
時計:2.22.8
ラップ的には、締まりのある好レース。前後半6F71.3-71.5秒を筆頭に、ほぼ前後半が同じ平均ラップ。馬場的にはそう極端に速い時計が出る設定ではなかったところ、2.22.8秒というオークスレコードが叩き出されたのも、よどみのないラップ推移がゆえと言えるでしょう。
後半5Fは12.2-11.7-11.4-11.6-12.3。早い地点で加速し、最後は失速するタフな競馬。
それを考えれば、外々を回り早め先頭から押し切りを狙って寸前まで粘ったカレンブーケドールは強い競馬をしています。思い返せば、新馬戦でダノンキングリーと頭差の競馬をしていた馬で、その時点から資質の高さはある程度証明していたわけですが、極限の戦いの中で、ついにポテンシャルが開花したといった印象。これはフロックでできる走りではなく、これからの活躍が楽しみになりました。
それを差し切ったのが、ラヴズオンリーユー。
予想コラムでも指摘したとおり、今年も中団以降から差してメンバー最速の上がりを使った馬が勝ち切りました。これはもうオークスにおける最重要テーマと考えていいでしょう。ちなみに、この馬は過去3戦、全て差す形で上がり最速をマークしており、このレースで最速をマークし得る存在でした。
もっとも、今回は初の多頭数、長距離輸送、左回りと、目に見えたリスク要因が揃っていた一戦。能力の高さはこれまでのレースが示す通りですが、果たしてそれを発揮できるのかには、かなり懐疑的な面もありました。それを全て跳ね除けての戴冠ですから、額面以上に価値があると思います。
クロノジェネシスは、もう運がないとしか言えないでしょう。今回も立ち回りとしては完璧なのですが、僅かに伸びにくい内を通らざるを得ない枠順、包まれるリスクを回避するために、もうワンテンポ追い出しを待てない状況と、どうにもならない要因が重なってしまっています。阪神JFでスタートを決めてさえいれば、この馬の進む道も変わったのかもしれませんが、能力はあれどタイトルが取れないというのが悲しいものです。
個人的には4着ウィクトーリアを評価。蛇行しながらよく伸びて3着と首差の4着。流れ的には嵌っていますが、こういう競馬ができたことは収穫。母ブラックエンブレム、父は秋華賞血統のマキャベリアン持ちのヴィクトワールピサ。このまま無事に行ってくれれば、秋華賞はこの馬から買うことになるでしょう。
血統的には、ディープ×ストームキャット系のワンツー。今となっては同じ米国血統でもボールドルーラー系の方が人気配合となっていますが、ひと昔前に大流行した配合がこれです。久しぶりに存在感を見せ付けましたね。さて、これが来週のダービーにどう繋がるか、オークスとダービーは血統的な同時性が起こり得るレースですから。
第26回平安S(GⅢ)
1着
チュウワウィザード
2着
モズアトラクション
3着
オメガパフューム
ラップ:
7.1-11.2-11.6-12.9-12.8-12.9-12.2-12.1-12.5-12.8
時計:1.58.1
例年の平安Sと比べても、そう厳しいペースとは思わないのですが、結果的には道中で最後方に近い位置にいた2頭のワンツー。むしろこの日の京都ダートは逃げ切り勝ち多発の前残り寄りだったと思うので、こればかりはレースのアヤとしか考えられないですね。
それにしても上手かったのは川田騎手。スタート自体は並程度には出ているのですが、隣のサンライズソアがそれ以上の好スタートを決めたと見るや、すぐに位置取りを思い切って下げる策。地方交流重賞は別として、東海Sでもインティの作るペースに乗って好位付けしていた馬を、あそこまで下げるというのはなかなかに大胆な作戦でしたよね。
かつて、某一流ジョッキーの方がインタビューで、『スタートして2、3完歩の動きを見れば、どんなペースになるか分かる』と話していましたが、まさにその通り、スタート直後の数メートルの隊列を見た段階で、こういった差し追い込み決着を予感していたと思われます。冴えているジョッキーの凄さを感じるレースでした。
2着に人気薄のモズアトラクション。さすがにこの大激走には驚きましたが、これまで内で詰まったりなかなかスムーズな競馬ができていなかった馬。流れが向いたことはありますが、重賞の大舞台で久しぶりに能力を出し切る競馬ができたことは大きかったですね。
3着オメガパフュームは、さすがに59キロが堪えていたようですが、それでも長く脚を使って捻じ伏せるような競馬を試みて3着ですから、改めて力のあるところは証明した格好。一番強い競馬をしていたわけですから評価を下げる材料はありません。レッドファルクスに続き、スウェプトオーヴァーボードの偉大な力を占めす代表産駒だと思います。
シンボリクリスエスもダート型ノーザンダンサーも全く上位に顔を出せずに終わった今年の平安S。私の期待したサトノティターンも見せ場なく凡走に終わってしまいました。そのサトノティターンは外枠、サンライズソアとクイーンマンボは先行勢総崩れの流れが堪えたと考えれば、それぞれに敗因はあるとも言えますが、これだけ揃ってオール圏外という結果は重く受け止めなければなりません。来年、改めて方向性を考えることにします。
というわけで、今年も日本ダービーを迎えます。今年も、競馬の祭典が盛り上がることを祈念してやみません。
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